内容説明
経営破綻から短期間での再生を果たしたJALをモデルにした「ノンフィクションノベル」。2010年1月、ナショナルフラッグと言われたヤマト航空は、経営に行き詰まり、会社更生法を申請した。再建の切り札として外部から招かれたカリスマ経営者が再建に乗り出すが、プライドの高い社員たちは、そのやり方に反感を抱く。だが、二次破綻は断じて許されない。痛みを伴う改革に加えてアメーバ経営が導入され、意識を変えるためのリーダー研修をはじめ、経営の指針「フィロソフィ」の作成等によって、社員一人ひとりのマインドセットが変わり、バラバラだった社内が一つになっていく――。しかし改革が軌道に乗り始めようとしたその時、東日本大震災が発生。津波に襲われて孤立した仙台空港で、ヤマト航空の社員たちは……。経営破綻、外部からのカリスマ経営者、意識改革、そして震災。2012年9月に株式を再上場するまでの、“奇跡の復活”を描く感動のストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
それいゆ
66
JAL再生の物語は読み応えがあり、東日本大震災で津波の被害に遭遇した仙台空港で奮闘する職員には頭が下がる思いです。でも私は、3.11の話を読むためにこの本を手にしたのではありません。もっと具体的な再生物語を期待していただけに、ちょっぴり残念です。2014/09/03
ナミのママ
41
経営破綻から短期間再生を果たしたJALがモデルのノンフィクションノベル。…社員を主人公にして内側の視点から再建を書いています。前半は破綻、カリスマ経営者がきて洗脳されるのではという不安、そして徐々に変わっていく様子。後半は震災を通じて、経営者が掲げた『フィロソフィ』がどのように実践されていくのか。もっと経営手腕を読めると期待していたので、前半は面白かったのですが、後半の社員の頑張り的な内容で終わってしまったのが残念でした。稲盛氏の本は何冊か読んでいて好きな人物なので、もう少しJAL再建を読んでみたいです。2014/08/02
あすなろ
33
人の心に正しいと思うことを行わねばならぬと気が付いた社員が、被災した東日本に復活した鶴丸マークを飛ばす。ちょっと落涙しそうな後半だった。まさしくJALの復活物語。確かに、その間に東日本大震災があった。鶴丸の真っ白な飛行機。日本人の心を象徴するかのような、そんな佐々木会長即ち稲盛氏の科白が後からしっくり来た。読んで良かったJALの再生ストーリー。そして、東日本大震災の仙台空港のストーリー。僕も、人の心に正しいと思うことを行うという至極当然のことを大事に行動したい。2014/11/09
まつうら
32
JAL破綻から再建への道のりを描いた作品と思い手にとった。機内も地上も混乱した様子の現場に、稲盛和夫と思しき佐々木和人会長があらわれる。アメーバ経営とかフィロソフィ教育とかのフレーズが出てきて、稲盛流経営が始まると思いきや、ここで裏切られた。東日本大震災で仙台空港が津波に襲われると、そこからは震災復興でJAL再建はどこかへ行ってしまった。広報部の翔が仙台空港の遥に想いを寄せるが、これは著者の他の作品にも散見するパターンでちょっと興ざめ。もっと骨太なJAL再建のストーリーを期待していただけに、ちょっと残念。2021/12/10
Yunemo
25
3.11時の対応が再生の象徴になっていますね。ノンフィクション・ノベル分野は経営・企業小説によく使われますが、本作品、淡々とした事実認定と個々人の感情を挟んだフィクション部分との兼ね合いが胸に響きます。個々人の役に立たないプライドの捨て方、組織源泉は個々人のベクトルの方向性確保、謙虚に誰よりも情熱燃やして努力する人たちの集まり、定義付けはいろいろあります。でも結局は、人生や仕事の結果は、能力と熱意と考え方のかけ合わせで決まる。この思想がすべてに当てはまります。実績の裏付けを確認し高ぶった気持ちのまま読了。2014/09/07