ハングリーゴーストとぼくらの夏

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ハングリーゴーストとぼくらの夏

  • 著者名:長江優子【著】
  • 価格 ¥1,155(本体¥1,050)
  • 講談社(2014/09発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062190251

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内容説明

――「あの塔が戦争中に日本人に殺されたシンガポール人の記念碑と知ったとき、ちょっとショックだった。そういうの、こっちにいれば、だれだってあるよ。私たちは日本にいる子たちよりはやく、底のない万華鏡をのぞいたんだよ」 小学6年生の間中朝芽(まなかはじめ)は、父親の転勤でシンガポールの日本人学校に通うことになった。そこではじめて、加害の歴史に触れる……。史実をもとに描かれる「共生」をテーマにした物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chimako

61
「ようするにさ、ハングリーゴーストも盆踊りも、昔の人たちを思い出すことだろ?生きてる人はじゅんぐりじゅんぐりやさしい気持ちで昔の人たちを思えば、みんな死んでるけど気持ちは死んでなくて、やさしい気持ちになると思うんだ。p215」……2014年7月シンガポール植物園でぼくが出逢ったのは1945年8月を生きる植物園の関係者だった。宝探しと友情とともに69年の時間の歪みが癒されていく。殺したり殺されたりが日常だった戦争の歴史から、その中で気高く生きた人たちの息遣いが聞こえてくる。生徒たちに読んで欲しい一冊。2015/02/06

杏子

12
読み終わった今日が8月21日だということに驚いた。やっぱり、物事はどこかでつながっているのかもしれない。シンガポールの日本人学校に通う朝芽(はじめ)が体験した、人生二回目の神秘。出会ったのは、69年前に生きていたと思われる3人。彼らとの出会いを通し、朝芽は日本人学校のクラスメートとも通じ合い、不思議な植生をもつ熱帯雨林の植物についても深く知ることになった。またシンガポールと日本の歴史的繋がりについても。作品はフィクションでも、書かれた事実は本物だ。児童書だが噛み締めるように味わいたい。2014/08/21

mizuha

11
シンガポール植物園で、人生2回目の不思議を体験する朝芽。植物の神秘と共に”戦争”に触れ、戸惑いながらも知らされた事実と向き合おうとする。「なぜ家族の大切なことを教えない」と怒るカズのおじいさん。「日本に居る子たちより早く、底のない万華鏡をのぞいたんだ」という主田さんの言葉。児童書ながらも、日本が加害者だった事実を突きつける。70年前の戦争について、知りたい人だけが知るというやり方は、もう改めるべきだろう。2015/04/21

マツユキ

9
朝芽(はじめ)は、親の仕事で、シンガポールで暮らす始めた。学校に馴染めず、一人、植物園で過ごしていると、猿を連れた男の人と遭遇する…。 戦争が題材になっていますが、現代を生きる少年少女が主人公で、朝芽と主田さん、カズ三人のやり取りが興味深い。戦争の歴史とどう向き合うか。難しいですが、熱帯雨林の植物の秘密、持ちつ持たれつに学ぶことがあるのかも。現実を知るのは辛いけど、世界は広く、楽しい。 2021/06/25

nanmatuko

9
シンガポールの植物園で、11歳の少年が69年の時を越えて、過去を生きた人たちと不思議な出会いをする。少年とその友人たちが、昔の出来事を知り、昔を『思う』事の大切さを知る。『思う』事とは、昔の事で悩んだり反省したりするのではなく、'昔の人たちを思い出すこと。生きている人が、順繰り順繰りやさしい気持ちで昔の人たちを思えば、みんな死んでるけど気持ちは死んでなくて、優しい気持ちになる'そういうこと。シンガポールの歴史や現在の様子、珍しい熱帯植物についても知る事ができる。生徒にオススメの本。2015/02/20

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