内容説明
離人症の妻、自閉症の娘を抱えた臨床心理士の僕は、家族のために今日も全力で疾走する。前作『数字と踊るエリ』で話題を呼んだ著者・渾身の家族史ノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
だんたろう
33
小説のような回顧録なのか。自閉症児を持つ親の苦悩と苦闘が描かれている。この作品は、経験者と非経験者で感じることに大きな差があるだろう。言葉にするのは簡単だけど、自分がその立場に立ってみないとわからないこともある。世の中には、想像できることと出来ないことがあることを理解する必要があるだろう。ついつい相手の立場に立って考えているつもりになっていることも多い。コメンテーターになっている自分を反省するきっかけになる作品だった。2015/06/23
キムチ
33
かつて臨床真理に傾倒し、専門書を読んだりした時もあった。筆者はTVでよく目にしていた程度。帯の装丁に辟易させられる。筆者が執筆した意図はかようにプロパガンダ的だったとも思えないが。「一般の人」からすると「こういった類の人たちは・・」と色眼鏡で見られる事もあろう状況が3つの視点で綴られる。僕・妻・そして客観的なそれ。筆者も相当な苦労を経て今日のスタンスを得たであろうが妻、そして発達障害の娘を「専門的」フィルターを通して分析する。「我が国の福祉・精神主義・過剰な道徳言葉・プレッシャー」などなど大いに共感。2014/08/18
てふてふこ
20
前作から気になっていた、妻。基本臥せっていて、他人と比較し、辛い辛いが口癖。占いを頼るなんて現実拒否。挙句エリの教育費は「私の父の遺産」発言。悲劇のヒロインっぷりに嫌気。母として、エリの成長を見守れる様になってほしい。2016/03/07
風眠
16
限りなく実話に近いけど、小説という形をとっているのだろうか。幼い頃から虐待を受け、学校や社会の中で居場所を得るために必死になり、目的を見失い、何のために生きているのか実感が持てないまま大人になった離人症の妻。臨床心理士として、父親として、自閉症の娘の療育に熱心に取り組んでいるが、どこかずれているような感じがする夫。夫婦それぞれの目線から交互に語られていく物語の中で、自閉症の娘・エリが、大人の都合で振り回されているように私には感じられ、療育とかよりもまず、純粋な親の愛で、エリを受け止めて欲しいと思った。2015/02/21
井戸端アンジェリか
12
なんて言ったらいいのか難しい。読む前の勝手に色々と思っていた事はくだらな過ぎて書けない。読んでいる最中の、自分だったらどうするか、でも他人事でホッとする、この思いの山と谷が少し胃にきた。 とにかく、最後にはきちんとあとがきを読みたかった。 ちゃんとあったよ、あとがき。『誰にも文句は言わせない』泣いた。2016/03/18
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