内容説明
“知”を鍛えれば、「この国のかたち」がはっきりと見えてくる――。西洋から輸入した国会中心の「政治(ポリティックス)」と、天皇中心の「政事(まつりごと)」。両者がせめぎ合い、日本という国は形作られてきた。「なぜ皇居前で暴動が起きないのか」「伊勢神宮vs.出雲大社」「アメリカ化する地方」等、都市や宗教、時間、性といった私たちの日常に隠れた「政治」の重要性を説き明かす。長年の研究成果を惜しみなく盛り込んだ、“学び”の喜び溢れる白熱講義!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
calaf
13
タイトルの意味合いが、いまいち分からないのですが、日本の政治の話。ただし、普通の(?)政治のみならず、政事(まつりごと)の事も含むらしい...というか、どちらかというとその部分が大きい気がしますが。著者の行った大学での講義内容を本にしたものらしいです。後半も発行予定らしい...2014/08/25
しんこい
8
はじめにの、欧米、中国、日本の政治を比較するあたりでつかみは十分、第一章の玉音放送をちゃんと日本国中の人が聞きに集まったのが、実はたいした事だった、という話も面白く、まあその後学生向けの講義を元にしているので個々の議論や検証があまり深くならないのは、ないものねだりか。作者が文中で言及している個々の著作を読んでほしい、という事なんでしょう。2014/08/24
kuirou
5
まず、タイトルは大袈裟と思う。 それを置いとくと、日本の政(まつりごと)について、分かり易くまとめられている良い本だと思います。 時間やルールを守ることに情熱を燃やす日本的な気質の一端が、戦中の時間による支配にあると分かったり、案外、考え方や生活が政治的なものに縛られているものだと分かったのが発見でもあった。2014/08/10
2ndkt
5
明治学院大学国際学部「比較政治学」の前半の講義録。著者が近現代の鉄道、皇室、神社に関心をもつ政治学者であり、内容もこれらのトピックが多い。知らなかった内容も多く面白かったが、「この国は、(国会中心の)政治と(天皇中心の)政事(まつりごと)でできている」という主張には疑問。現天皇が震災被災地をはじめ各地を回り、人々に寄り添うなど、大きな役割を果たしている点は同意するが、「政治と政事からできている」は言いすぎではないかと思った。少なくとも天皇はそう思っていないのでは。2014/08/14
makio37
4
時間や広場など様々なテーマと政治の関わりについての講義録。一冊の本としての纏まりはない。しかし、各分野の既知の内容と本書で得た雑多な知識が脳内で互いに繋がり、2つの「まつりごと」に収斂する快感を味わった。<伊勢神宮vs.出雲大社>の背景や、東京と大阪の都市の成り立ちの違いも面白い。政治的存在としての皇后の役割も改めて意識した。戦勝を確信する和歌を詠み続けた貞明皇后に対し、ひたすら民の為に祈りを捧げる現皇后。後者のナカツスメラミコトのおかげで、今我々はかろうじて安んじていられる。2014/12/04