ハヤカワ文庫NF<br> やわらかな遺伝子

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ハヤカワ文庫NF
やわらかな遺伝子

  • ISBN:9784150504120

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内容説明

ゲノム解析が進むにつれ、明らかになってきた遺伝子のはたらき。それは身体や脳を作る命令を出すが、環境に反応してスイッチをオン/オフし、すぐに作ったものを改造しはじめる柔軟な装置だった。遺伝子は何かを制約するものではなく、可能にするものだったのだ。私たちを形成するのは「生まれか育ちか」――長年の論争に、最新及び過去の膨大な研究データを用いてまったく新しい考え方を示した世界的ベストセラー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥

75
この本のテーマは「人を形づくるのは生まれか、育ちか」。結果からすれば両方なのだが、最新の科学研究以外にも、昔から行われていた研究の紹介もあって専門外の私にも面白く読めた。なるほどなーって思ったのは「一卵性双生児」の研究。離れ離れで育った双子のどこが似てどこが違うか?当然顔かたちは遺伝の影響が強いけど、例えばユーモアのセンスなどは相関性が少ない。関西に育てば関西人のノリになるってわけ。子供の頃の学力は環境だけれど、成長するにつれて遺伝の要素が強くなるなど。人に話したくなるトリビアが沢山ありました。★★★2014/11/27

赤い熊熊

17
「生まれか育ちか」論争を弁証法的に検討して、「生まれも育ちも」と主張する本。読んだ感想では、やっぱり遺伝子がそもそものところを決めるんだなと。当たり前といえば当たり前の結論。どれだけ努力しようが誰もがイチローにはなれないし、錦織圭にはなれない。「夢を諦めない」的なキャッチフレーズがどれほど罪作りか。それでも、いくら良い素地を持っていても、練習しなければその性能は活かしきれない。そういう意味では「育ち」は重要。「機会が平等になれば、遺伝的変異が強調される」には納得。上手く言うなぁ。2018/09/26

CCC

16
タイトル的に遺伝子の可塑性の話が中心かと思っていたけれど、どちらかといえば「生まれ」か「育ち」か論争が前面に押し出された内容だった。「公平な社会では「生まれ」が強調され、不公平な社会では「育ち」が強調される」という教訓部分が心に残る。これだと選別的なエリート教育を行えば遺伝の影響が無効化され能力あるエリートが生まれにくくなり、平等な教育を施せば遺伝の影響で能力に秀でたエリートが生まれるという事にならないだろうか。2017/10/09

Toshi53162606

14
原題が「生まれは育ちを通して(Nature via Nurture)とあるように、「人間や動物、社会は生まれによるのか育ちによるのか」という古来からの議論に決着をつけた本。 遺伝決定論者や環境決定論者が犯してきた過ちを紹介しながら、生物の心や体の仕組みを、心理学と生物学の知見をベースにして解明している。 遺伝子は環境の変化を敏感に察知して、その時々でスイッチのオンとオフを切り替えるように変化する。そうして1つの遺伝子が変化すれば、それは無数の遺伝子の変化を誘発して、全体としても大きな変化を生む。2022/09/30

moshi

13
読むのに随分長いことかかってしまった。でも長い時間かかってしまっても読みきりたかった。私達を形成するのは「生まれか育ちか」。膨大な研究データを用いて「生まれは育ちを通して表れる」という考えを示したノンフィクション。遺伝子は環境に反応して活性化するのだとか。14年前の本だけど十分に面白い。「生まれか育ちか」論争の歴史、それに付随する哲学的課題等、人の個性と環境のあり方について考えさせられる。2018/09/22

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