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内容説明
7世紀に勃興したイスラームの東進に抗してインド仏教は大きく変化する。マントラ(真言)を中心に据え、それを唱える身体的修行によって精神の在り様の根本的転換を図ろうとする新しい仏教が姿を現す。それは「密教」と呼ばれ、7世紀中頃から8世紀初めに中国に伝播する。その仏教の激動期に空海は生まれ、新しい教えを求めて入唐する。そこで空海は何を得たのだろうか。空海が遺した言葉に向き合うことによって、中世的「弘法大師」信仰を解体し、空海の言葉に込められた「いのちの思想」に迫る。
目次
序章 空海の真実を求めて(空海とわたし 立ちはだかる難関 ほか)
第1章 空海の願文―「一切衆生、皆これ我が四恩なり」(空海の願文、その歴史的位相 空海の願文、その様式 ほか)
第2章 「即身成仏」とは何か?―「父母所生の身において、速かに大覚位を証す」(「即身成仏」の義を求めて 『菩提心論』を読む―「即身成仏」の予備的考察 ほか)
第3章 「声字実相」とは何か?―「声字分明にして、実相顕る」(マントラ(真言)とは何か?
マントラは梵語で読むべし ほか)
終章 「万灯万花会の願文」―「虚空尽き衆生尽きなば、涅槃尽き我が願いも尽きなん」(多忙な空海 万灯万花会の願文 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
25
『空海の風景』を読了し、空海に共鳴するような気持ちを覚え、研究家の書籍を読もうと思った。中立的な視点から空海の残した願文等の言葉を研究し、後の時代に鼠入したであろう部分を指摘し、少しでも空海の思うところを解説しようと試みる著者に出会えたことは幸運だったと感じた。梵語が中国語に翻訳され、漢字音訳語として日本に輸入された結果、マントラを正しく唱えられないまま現在の読誦に至っていることが目から鱗であった。空海学会や町石道を歩こう会も興味深い。2014/11/25
moonanddai
8
空海の考える、発菩提心を起点とする「四恩」だの「即身成仏」「声字実相」といったものは、まさに「菩薩仏教(大乗仏教)」が目指すもの、(言い切ってしまえば)「成仏」、「目覚め」のためのものといったことで考えなければならない、と著者は言います。それは「真言宗」とか「密教」といった枠組みの中でとらえるものではなく、もっと大きな、まさに「空海の思想」としてとらえなければならない、ということでしょう。でも、その中身となると、やっぱり難しいなあ…。2021/04/21
オサム兄ぃ
4
「高野山展」の仏像の美しさに感化され読み始めた密教関連書2冊目。東大仏文教授と、文系学部の頂点を極めた著者。空海研究を発意して天下りを断った10年の成果である。教養のない小生なので、理解は怪しく読了に時間を要したが、高級な知性が1,200年前の思想を探求する様は興味深く楽しかった。教団や学校組織の埒外故に、斬新で通説的な理解とは異なる部分も多いと思われるが、その分切れ味も良い。例えば仏教の進化を世界史の中に位置づけ、大乗仏教化の背景にキリスト教の誕生を、密教の成立をイスラーム成立と関連して捉える等。2014/12/15
ハヤカワショボ夫
2
竹内氏の空海本2作目。「空海が好きだ」から始まるこの本、空海の声に直接触れるため漢文で読んだとのこと。私もなるだけ原文に近いものということで空海コレクションを読んでいるが、レベルの違いを感じた。その著作において真贋を見極める作者の審美眼に脱帽。しかしながら「沙門空海」から始まった空海研究という点、弘法大師でなく人間空海に興味がある点等私の求めるテーマと共通点があり、求めている疑問にほぼ到達され、読んでいて心躍った。氏らが主催する「空海学会」において探求・展開される今後の空海論が愉しみです。【家】★★★★★2015/04/30
カミブクロ
1
高難度。あまり理解できず。仏教の知識が無い人は読んでも全く理解できないと思われる。通俗的な空海解釈から脱しようとしているため、非常に良心的な本なのだが、そのため大半が専門用語の解説になっている。2016/05/02
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