内容説明
フルっとした食感にほんのりミルクが香る絶品チーズ、細かく柔らかな泡が喉に心地よい緑のワイン、艶やかな飴色に焼きあがった、あつあつの仔豚の丸焼き......。素朴で飾り気のない、でもほっとする料理の数々。ポルトガルは、どこか懐かしくて美味しい国だ。各家庭のキッチンやレストランを訪ね歩き、旅の旨みをぎゅっと詰め込んだ食旅エッセイ。
目次
リスボンとその周辺
コインブラとその周辺
ポルトとドウロ地方
ミーニョ地方
アレンテージョ地方
ヴィーニョ・ヴェルデを巡る旅
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
372
著者は女性誌の編集者から独立し、現在はフリーの食と紀行のライター。これまでも雑誌等に記事を書いていただろうが、著書としては本書がデビュー作のようだ。これを生業にするには2つの要件が絶対に必要なようだ。まずは、何でも美味しく食べられること。私などは若鳥の生血のリゾットと聞いただけでリタイア。この人は仔ヤギの乳児の丸焼きにも「仔ヤギっていける!」と言う。次には健啖家でないと務まらない。よくそれだけ食べられるなというくらい食べるは食べるは。それに、そもそもポルトガルの一人前は多いのだ。もう感服!2019/04/07
takaichiro
77
ポルトガルの食文化を余すところなく紹介するエッセイ。江戸時代に鎖国していた日本は種子島を接点にポルトガル文化を吸収。そのせいか、日本の食文化を代表する天ぷらに似た料理も出てくる。料理人達との会話や、軽妙で字が舌を刺激する様な食レボが続き、ポルトガル旅の特番を見た様な読後感。肉、野菜、魚、料理全体に彩りを添えるワイン。ポルトガル全土を周り味わい尽くす旅。ランチ前空腹時の拙者には刺激が強すぎて、クラクラしました。ある料理人の一言がまたいい「シェフはアーティスト。料理はおいしく、美しないと」ポルトガル行きたい!2019/07/13
penguin-blue
51
数年前にポルトガルを旅した時、短い滞在だったのにもかかわらず食いしん坊の国という印象が残った。いわゆる豪勢な美食、というのではなく住んでいる人も訪れる人も食べることが好きで、ちょっとしたつまみ食いやお茶、そしてもちろん日々の食事が愉しく喜びに満ちているイメージ。広場に張り出したカフェに座ったおじさんたちが幸せそうにケーキをほおばり、ワインは安く、何より海産物が気軽に美味しく食べられるのが日本人には嬉しい。この本を読んで、まだまだポルトガルの食い倒れ、奥が深そうと実感。またゆっくり行きたいなー。2019/03/25
みとと50
20
ポルトガル?って、カステラとか種子島のイメージで現代の感覚が無かったので興味を惹かれました。あまりどぎついスパイスやらを使わないお料理なのね。魚介も沢山食べるみたいだし、日本人には良さそう。旅行記って読んでいると現地に居るような、呼ばれる様な空気に触れられるのが楽しい。ワイン好きなら、もっと楽しめるかも。お米も結構食べる地域なのね。2014/07/13
shizuca
15
ポルトガル行きたくなっちゃいました。とくにワインの話。ヴィーニョ飲みたい。妊婦には酷な本でしたがとても美味しそうで楽しい本。地方の味があるっていいなぁ。単一のものではなく、この地方だからこの料理はかかせない、みたいなのが羨ましい。地域色と昔からあるものをそのままの形で後世に残す姿勢、便利さや近代化という言葉に負けずに見習いたいです。2016/02/22