内容説明
海洋全蒸発や全球凍結、巨大隕石の衝突など、地球環境が激変しても多くの生命はしぶとく生き残り続けてきた。そして今でも、強者ではない動植物などはあらゆる方法で進化し続けている。群れる、メスを装う、他者に化ける、動かない、目立つ、時間をずらす、早死にするなど、ニッチを求めた弱者の驚くべき生存戦略の数々。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホッパー
71
良書。動植物の生存戦略の例が面白く紹介されている。人間社会もそうだよな。。と感じさせる事も多数ありとても興味深く読めた。2020/04/25
うえぽん
51
雑草生態学の研究者が、「弱者」動植物が生存率を向上させるために進化した戦略を紹介。食われにくいように、群れる、逃げる、隠れる、ずらす戦略。同じ場所でも棲み分けるなど、ニッチの条件を細分化することによって、ナンバー1を維持する戦略。複雑さや変化を好むことによって勝つ戦略。安定した環境では卵や種を減らして大きくする方が有利で、不安定な環境では小さくとも数を増やす戦略が有利。メスやエサを巡る争いではこそ泥戦略やメスに化ける戦略を取るものも。自分の弱さを忘れず、弱さを利用できるように変化することの重要性を再認識。2024/10/30
ばりぼー
44
生物にとって「強さ」とは、鋭い牙やとがった爪を持つことではない。生き残ることである。よく「雑草のようにたくましく」という言い方をするが、むしろ雑草は弱い植物である。植物は、光や水を奪い合い、生育場所を激しく争っている。雑草はそのような植物間の競争に弱く、たくさんの植物が生い茂る深い森の中には生えることができない。そこで雑草は、他の植物が生えることのできない、よく踏まれる道端や草取りが頻繁に行なわれる畑の中を選ぶのである。条件の悪いところをあえて選ぶ「ずらす」という戦略こそ、弱者の戦略の神髄である。2016/12/06
けんとまん1007
41
面白かった。久しぶりに、スイスイと読めながらも、発見が沢山あって、かつ、納得することも。ニッチとはということを、改めて考えなおしたし、こうやって考えると、そもそも強いとか弱いとかいうのは、どういうことなのだろうと思ってしまう。生き残ったものが強いのだと思うし、何より、環境に対応して、あるいは先を考えてというのがスゴイ。そう考えると、人間は何とはかないものだろうかと思ってしまう。目からウロコだ。2014/11/19
えっくん
40
★★★★☆自然界を生き抜くため弱者には弱者なりの生存戦略があるということです。著者の本は何冊か読了していますが、本書も興味深い内容が満載でした。弱者の基本戦略は「群れる」「逃げる」「隠れる」「ずらす」の4つ。他の生物に擬態化し捕食されるのを回避しているのは昆虫だけでなく植物の事例も挙げられていましたが、視覚が無い植物が他の植物の姿を模倣することを成し得たのか驚くばかりです。ナンバー1になれるオンリー1の場所を見つけることが自然界の強者となるということで多様化する現代のビジネスモデルにも通用しそうです。2024/03/17