集英社文庫<br> 道草

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集英社文庫
道草

  • 著者名:夏目漱石
  • 価格 ¥451(本体¥410)
  • 集英社(2014/06発売)
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  • ポイント 120pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087520590
  • NDC分類:913.6

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内容説明

小雨降るある日、健三は勤め帰りに思いがけない人物を見かける。それはかつての養父・島田で、海外留学から戻り大学教師となった健三から、何がしかの援助を得ようと十数年の時を経て近づいてきたのだ。島田、島田の先妻・お常、姉・お夏、妻・お住の父。困窮する係累にあてにされ、神経症気味の妻とも気持ちがすれ違う。永遠に「片付かない」日常の苦悩を描いた自伝小説ともいえる家族の物語。語注・年譜付き。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

aika

44
出口のない真っ暗なトンネルの只中を右往左往するようなこの息苦しさに終生漱石は悩まされ続けてきたのかと思うと、えも言われぬ気持ちになります。洋行帰りで大学で教鞭をとる華々しい活躍をしながら、養父母を始め次々に金を無心する人々に囲まれて、寛容に近い境地に至った健三の精神が蝕まれていく様子は 静かな哀しみに満たされていました。健三を所有物として恩返しを強い続ける養父母の島田夫妻と、生家にも養家にも居場所がないという親子関係のいびつさと孤独。ヒステリーを起こす妻との丁々発止のやりとりも、胸をつかれる思いでした。2021/03/12

あいくん

19
☆☆☆☆漱石作品は長く読み返してきました。「道草」も数年ぶりの再読です。「道草」は自伝的小説です。夏目鏡子の「漱石の思い出」や尾野真千子さん主演のテレビドラマ「漱石の妻」とも関連は深いです。「道草」の主人公の健三は8年前に結婚しました。健三夫妻は、用事の他口を利かない夫婦でした。健三は学者です。山のような洋書に囲まれて暮らしています。健三はストイックです。三度の食事以外におやつを食べません。時間の価値というのは近代以降のものです。近代人の健三は今夜中に片づけないといけない明日の仕事がいつもあります。2021/05/01

ネムル

16
「おれの眼はいつでも涙が湧いて出るように出来ているのに」、漱石の自伝的な小説とは知っていたが、くそ文界のマエストロがここまでくそ文街道を爆走しているのに驚き。ただしまあ、あまりのぐだ文っぷりにむにゃむにゃしたり、奥さんとのやり取りにげらげら笑ったり、面白いんだかなんだかよくわからない読み心地だったあまり集中して読めなかったのだが、漱石が内容・手法共に時間テーマに挑戦したのだろうかと、なんとなく感じた。特に健三の時間の守銭奴みたいな性格は、今ならより一層現実味があるのでないだろうか。2019/06/20

あいくん

11
☆☆☆☆3年ぶりに読み返しました。「草枕の那美と辛亥革命」、「漱石の新婚旅行」を読んで漱石の妻の鏡子さんのことに理解が深まりました。自伝的小説とされる「道草」では健三の妻のお住が鏡子さんと重なって見えました。何度も読んでいるはずですが、部分的には覚えていないところがあります。長編小説を読むということはそういうことです。主人公の健三はこの頃35歳くらいです。最後に、「世の中に片づくなんてことはほとんどない」と健三はつぶやきます。この作品のヒロインは健三の妻ですが、漱石の妻の鏡子がモデルとされています。2018/01/16

マーブル

5
漱石の緒作品の中では、語られる機会が比較的少なく思える本作品。私も今回初めて読む機会を得た。自伝小説とも言われる内容は、漱石の生い立ち、日常をベースに、これまでの作品よりもリアルさを感じる。特に夫婦関係について。 「妻は夫に従属するもの」と考える夫。  「夫という名前だけでは尊敬できはしない」とする妻。  お互いが、お互いの無理解、無配慮、思いやりのなさを嘆き、  相手が説明すれば聞いてやる、相手が譲歩すればこちらも譲ろうと静観する。  やがて、背中を向け合って生きるだけで、日々は続いていく。 2019/06/14

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