集英社新書<br> 原節子、号泣す

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集英社新書
原節子、号泣す

  • 著者名:末延芳晴【著】
  • 価格 ¥748(本体¥680)
  • 集英社(2014/11発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087207422

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内容説明

代表作『東京物語』が、英国映画協会発行の映画雑誌「Sight&Sound」による2013年アンケートで世界の映画監督が選出したナンバー1映画になるなど、小津安二郎は今なお注目を集めている映画監督である。その小津作品の中でも頂点と評されるのが紀子三部作、『晩春』『麦秋』『東京物語』だ。各作品のフィナーレに近い場面で、ヒロインを演じた女優原節子は全身を震わせて泣き崩れる。小津が、不滅の名を残し得たのは、この三本の映画のフィナーレで原に号泣させたからだといっても過言ではない。「泣く」という行為を切り口に、幸福の限界、幸福の共同体の喪失、という小津の映画の主題と思想的本質に迫る画期的評論。【目次】はじめに/第一章 ほとんどの小津映画で女優たちは泣いた/第二章 小津映画固有の構造と主題/第三章 思想としての小津映画/第四章 原節子は映画のなかでいかに泣いたか/第五章 原節子をめぐる小津と黒澤明の壮絶な闘い/第六章 『晩春』[ I ]――原節子、初めての号泣/第七章 『晩春』[ II ]――娘は父親との性的結合を望んでいたか/第八章 『麦秋』――失われた幸福なる家族共同体/第九章 『東京物語』――失われた自然的時間共同体/第十章 喪服を着て涙も見せずスクリーンから消えていった原節子/おわりに/関連年表

目次

はじめに
第一章 ほとんどの小津映画で女優たちは泣いた
第二章 小津映画固有の構造と主題
第三章 思想としての小津映画
第四章 原節子は映画のなかでいかに泣いたか
第五章 原節子をめぐる小津と黒澤明の壮絶な闘い
第六章 『晩春』[ I ]――原節子、初めての号泣
第七章 『晩春』[ II ]――娘は父親との性的結合を望んでいたか
第八章 『麦秋』――失われた幸福なる家族共同体
第九章 『東京物語』――失われた自然的時間共同体
第十章 喪服を着て涙も見せずスクリーンから消えていった原節子
おわりに
関連年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ネムル

5
シナリオには「声を忍ばせて泣き入る」と書かれているのに実際は号泣しているという指摘から、原節子の抑制と激情について描いている。そして山中貞雄・黒澤明・小津安二郎へと受け渡される「泣き」のキャッチボールという想像も面白い。ただし小津の「思想」や「真実」をくどいまでに繰り返のは鼻につく。2014/08/17

Gen Kato

2
「紀子三部作」を中心にした小津安二郎映画論および原節子論。納得できる部分もあれば異論もあり。にしても『晩春』の壺のショットの意味、誰がどう説明してくれても完全には首肯しかねる。(そこが面白いところなんだけど2017/08/21

marsh

2
原節子出演の小津作品を丁寧に読み解くことで「小津安二郎作品論」かつ「原節子論」に仕上げています。特に紀子三部作「晩春」「麦秋」「東京物語」での主人公原節子の「泣く」シーンから、家族の関係性や幸福な家族共同体の崩壊と喪失といった小津作品の主題を解き明かしており説得力がありました。高橋治氏と蓮實重彦氏の小津作品論には違和感を禁じ得ない部分がありましたが当作品で納得すると同時に、第五章「原節子をめぐる黒澤明との壮絶な闘い」では日本映画界の二人の巨匠の原節子起用における相違点が整理され大変興味深く読めました。2014/08/03

fwhd8325

2
女優原節子さんへの強烈な賛辞であると共に小津安二郎への敬意を感じます。私自身「東京物語」は日本映画の最高傑作と思っています。 映画は、見てそれぞれが感じるものだが、何度も見ていると違った感想を得るように、この著書にあるような論評も楽しい。2014/07/18

NAKY

1
小津安二郎がその映画に込めた思想と哲学を解き明かそうとする力作。確かに小津映画を語る時、あまりにユニークな映画技法の数々、例えばローアングルだとか棒読みの台詞だとか人物の正面からのカットだとか散りばめられた赤の色とか、に目を奪われて、小津の思想は二の次になっていたように思う。晩春、麦秋、東京物語という原節子の紀子三部作に焦点を絞り、その意味に迫っていく。僕のもしも無人島に持って行くなら映画は小津。そんな生涯の友についての理解を深めてくれた良書。2014/08/19

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