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内容説明
丹羽前大使を「親中派」と決めつけてはいけない。氏の中国論はきわめて誠実でまっとうである。(社会学者、『おどろきの中国』著者・橋爪大三郎)世界一の貿易額をかさに着て、中国が驕りを見せはじめた。もはや日本なしでもやっていけると言わんばかりに。経済的に勢いづいてはいるが、その内実は数々の難問に直面している。拡大する都市と農村の経済格差、国有企業の杜撰な経営体質、テロや暴動が絶えない少数民族問題、要人たちの汚職と不正蓄財……。そうした中国国内の真実は、報道を通じて知られているようでいて、意外と情報は流れていない。感情論だけが先走り、隣国を正しく見据えられていないのではないか。この状況に危機感をもった前中国大使が、ついに沈黙を破る。商社マンとして30年、大使として2年半。政財界トップの性質や思惑、はては国境近くの庶民や少数民族の生活実態まで、「病める中国」の姿をつぶさに見つめた迫真のレポート。
目次
第1章 14億人という大問題
第2章 経済という大問題
第3章 地方という大問題
第4章 少数民族という大問題
第5章 日中関係という大問題
第6章 安全保障という大問題
終章 日本という大問題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
171
伊藤忠、中国大使を経験された著者ならではの一冊。数字を読み取って中国の現状を分析したり、中国の今のトップも実は日本と交流が深いとか一見知らないところまで説明されていて良かった。2014/08/23
kawa
38
伊藤忠のトップから民主党政権下、初の民間出身の中国大使に就任した著者による中国論。今から6年前の発刊ながら未だ賞味期限ありの内容。一部には「親中派」と非難される著者だが、一読して感ずるところは、尖閣問題についての見識に見られるように極めて良識的な議論を展開しているように感ずる。政官含めて氏を活かしきれなかったということなのだろうが、一方で良識だけでは政治や外交は回らないのだろうことも容易に推測できる。(コメントへ)2021/02/08
Rubik's
29
★★★☆☆2019/07/21
犬こ
27
中国の経済成長は早く、世界の工場から、今や世界の市場へとアメリカ同等の世界経済の影響力を持ち始める一方、13億の国民統制、日本を含む国境周りの国々の諸問題。これら経済、政治、国際関係、民族、教育の問題点を日本と絡めながら意見していたのが為になった。タイトルは中国の大問題だけど、日本の大問題でもあるなと感じました。2017/02/09
エリナ松岡
21
読まずに置きっぱなしにしてまして、丹羽さんの他の本読んだ時にふと思い出しました。当時、この本に書かれているような日中間の緊張状態が確かにありましたね。新聞やテレビとは違った角度から公平と思えるスタンスで中国について色々書かれています。僕にとって一番面白かったのは少数民族の章でした。ウイグル、チベット、内モンゴルの各自治区を視察して来たのもすごいもんですが、特定の個人を批判するは避けているものの結構ズバリと問題を指摘してます。2020/01/21