内容説明
第一楽章「白日の序曲」の初稿発表より40年の歳月を経て完成した「連環体長編小説」――全四楽章のうち、旧作の新訂版である第一楽章から第三楽章までを本書に収録。異姓同名の男女の織りなす四つの世界が、それぞれ独立した中篇小説でありながら、重層化され、ひとつの長篇小説となる。十五年戦争から、敗戦・占領下、そして現代にいたる、日本人の精神の変遷とその社会の姿を圧倒的な筆致で描破。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YY
3
共産主義の若者を描く。思想小説にふさわしく、四角い印象の文章。四角い、といっても、方言がつかわれていて、それが九州(深江が出てくるが、たぶん別地方のも混ざっている)と広島というのが戦後という時期と混ざり合う。で、変遷といいつつも左翼の無力感がさまざまな形で現れる。2014/11/22
まどの一哉
2
第一楽章から第三楽章まではずいぶん前に書かれたものである。戦後日本人民党の細胞として、鏡山県の一地方で部落差別問題や再軍備反対の学園闘争に地道かつ誠実に取り組む主人公の姿を描く。しごく真面目でまっとうな内容であり、たとえば党中央と末端の細胞との齟齬や矛盾を取り上げるようなところはない。 2017/05/29
蝉、ミーン ミーン 眠ス
0
日本人の精神史というには人選が恣意的すぎるきらいがある。2014/09/20
澄川石狩掾
0
「白日の序曲」は、陸上競技部出身の女性(香坂瑞枝)と文学青年(税所太郎)の男性の交際・結婚を、その男性の恋愛や性欲とともに描いていて、気に入った。2024/11/21