講談社文芸文庫<br> 日和山 佐伯一麦自選短篇集

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講談社文芸文庫
日和山 佐伯一麦自選短篇集

  • 著者名:佐伯一麦【著】
  • 価格 ¥1,562(本体¥1,420)
  • 講談社(2015/03発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062902335

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内容説明

新聞配達の早朝の町で、暗天に閉ざされた北欧の地で、染織家の妻と新たな暮らしを始めた仙台の高台の家で、そして、津波に耐えて残った小高い山の上で――「私」の実感をないがしろにしない作家のまなざしは常に、「人間が生きて行くこと」を見つめ続けた。高校時代の実質的な処女作から、東日本大震災後に書き下ろされた短篇まで、著者自ら選んだ9篇を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

松島

18
佐伯一麦さんの見た景色を同じ仙台市で働く僕には手に取るように文章から情景が浮かんでくる。きっとゼライス工場のにおい、刑務所の壁、JRの高架下随分とどれも日常の一部がリンクする『朝の一日』『日和山』震災による暗く深い絶望感。真っ暗闇の世界に広がる満天の星空。僕も一生涯忘れられない夜空をこの作品を読む度に思い出させてくれるだろう。2020/06/11

mm

13
作者の故郷である宮城県が舞台の自選短編が9篇。半ば自伝的。それぞれの時代に、作者が感じたり吸っていた空気から、糸を紡ぎだし、ザックリとした手触りに織り上げたような感じ。縦糸には、電気工として働いた経験から見た日本経済史みたいなものも織り込まれている。染色家の奥さんが再々登場するので、織物のイメージが湧いたのかもしれないが。東北の自然や言葉使いは、私の住んでいるところからは縁遠いのだが、小説内では近くに引き寄せられた。最後の震災後の作品は、まだまだリアルすぎて、鑑賞というような次元では読めなかった。2015/01/14

ステビア

13
静かな作品集。巧みな作家であることを再確認。同じネタの使い回しもすごいよね(笑)2014/07/27

マカロニ マカロン

6
個人の感想です:B+。佐伯一麦さんの自選短編集。高校時代に書かれた処女作、朝の新聞配達少年の気遣いが細かく描写された『朝の一日』、再婚の奥様と1年滞在したフィンランドでの生活を描いた『凍土』、再婚後の穏やかな生活を書いた『なめし』などどれも味わい深い短篇だ。表題作の『日和山』は仙台在住の作者が大震災翌年の2012年に書かれている。昭和8年3月にも大地震があり、津波が発生している、町から近い小山の日和山に「幸人畜ニハ死傷ナカリキ」だが、「地震があったら津浪の用心」と先人たちが警告した戒石があった。2018/02/11

geromichi

5
語り手(作者)が故郷宮城に戻った後を描いた作品たちの中から、作家が収録作を自選した短編集です。初期の作品に比べて、穏やかで落ち着いた筆致になってきた印象を受ける。作家の年譜だけでも価値があるなあと思っていたけど、同じ講談社文芸文庫の「ノルゲ」も既に持っていた。2020/03/16

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