内容説明
「金田一賞」受賞学者が
漢字の文化史を多角的に解明!
東アジア各地に広がる漢字文化。漢字への日本人の思いは強く、意味や音だけでなく情感や形にまでこだわり、他国には見られないほどの愛着をもってフル活用してきた。ひらがな、カタカナ、数々の国字も、漢字なしには生まれてはいない。漢字を消化・吸収し、考え、遊び戯れ、ときに悩み、誤解や曲解を重ねた2000年の歴史。それを見ていけば、日本人とは何かが見えてくる。
[内 容]
第1章 漢字はあんがい身近な文字である
第2章 日本人と漢字との出会い
第3章 誤字も略字も文字のうち
第4章 地名や人名を表す文字
第5章 若者漢字と漢字文化の未来
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケロコ
28
憂鬱という字は書けますか?書けません。世界一複雑でユニークな表記を持つのが日本語。なるほど、漢字も音読み訓読みとあり、ひらがな、カタカナと多種多様。当用漢字でなくもと歌の歌詞などには感情を乗せた表現があるという。尾崎亜美、阿木燿子、椎名林檎などが例に挙げられ面白い。料理に使われる漢字や地名、名字等も興味深い。2015/10/25
ヨクト
23
ほとんど自動変換で漢字に変換しているが、いざ自分で書こうとすると、意外に書けないことも多く情けなくなることしばしば。本書を読んで漢字の奥深さと同時に自由さと可笑しさも学んだ。「ひざし」「たまご」の話が印象的。また略字や誤字の浸透、国や難しい漢字の当て字なども面白い。「憂鬱」と書くのが憂鬱だなと思う今日この頃。2015/02/23
壱萬弐仟縁
21
日本人には、漢字以外使えなかった時代があった(32頁)。ちょうちょう、よりも、てふてふのほうが飛ぶ蝶らしかった。tepのように発音していたことによる(67頁)。古文で現代的仮名遣いになおす問題は高校入試で頻出する。Japanは日本をジパングのように発音した元代の中国人の発音をマルコポーロが聴き取ったものが元になっていた(94頁)。漱石先生も、誤字があるという。専門を専問とか(122頁)。そりゃ人間だから。僕なんぞしょっちゅう変換ミスしており、ご迷惑をおかけしております。 2014/06/28
naji
7
日本人は、文字に対するバリエーションや愛着をものすごく持っているなと感じた。漢字が伝えられて2000年、その都度ものの考え方、文化を通して漢字から国字へ、更には国字をフル活用しての熟語まで何とも言い難い『魅力』が詰まった一冊でした。2015/12/06
えりこ
2
日本人の創意工夫に脱帽。間違った使い方とか誤表記が、正しいとされてくるなんて‼︎2015/01/21