小学館文庫<br> ラバーネッカー

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小学館文庫
ラバーネッカー

  • ISBN:9784094088533

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内容説明

英国ミステリ界の新女王、待望の最新作!!

ラバーネック/[名詞](ゴムのように首を伸ばして)むやみに見る人、物見高い人。
 南ウェールズに母サラと二人で暮らすパトリックは、アスペルガー症候群の18歳の少年。他人とのコミュニケーションが苦手な彼は8歳の時に友だちとトラブルを起こし、学校から呼び出しを受けた父はその帰り道に息子の目の前で車に轢かれてしまう。しかしパトリックは父の「死」が理解できず、それから彼の「死」への探求が始まる。「死」の向こうに何があるのか。ひたすらその答えを探すパトリックだが、小動物の死体を解剖する、死者の写真を集めるといった彼の行動にサラは戸惑い、息子との関係に悩んでいる。
 カーディフ大学医学部に入学し解剖学を学ぶことになったパトリックは、実習で遺体の解剖・死因特定を課される。遺体「19番」の担当になったパトリックは、解剖中に不審物を見つける。「19番」の娘と接触し、彼が何者かに殺されたと直感したパトリックは警察に通報しようとするが、その動きを知った真犯人の手がパトリックにのびる…。
 デビュー作でゴールド・ダガー賞に輝き、本作でも再度ノミネートされた英国随一の実力派作家による最新作登場!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

巨峰

102
アスベルガーの青年パトリックは幼い頃父を事故で亡くした影響から大学で解剖学を試みることになる。彼が大学の解剖教室で切り裂いた死体に疑問を感じたことから物語は大きく展開する。前半は、ゆっくりと、またいくつかの事象が同時に若しくは異なった時制で進むため、なかなかページが進まないけど、後半は怒涛の展開。緩急の差が凄いです。前半の伏線が生かされてミステリーとしても優良だし、一人の青年の成長の話としても良作だと思います。これからの新作も楽しみな作家さんだと思う。2018/11/29

ざるこ

54
アスペルガー症候群のパトリックが医大の解剖実習で遺体から不審物を発見。疑念を抱き死因の調査に乗り出す。多視点で始まる構成は最初戸惑うけど徐々に繋がる。「死」への探求は動物の死骸から人間の遺体へ。他人と交流が出来ないパトリックが真相に近づくほど仲間たちと距離が縮まる感じが微笑ましく、なんともいえない温度差が滑稽。そんな息子に苦悩する母親や遺族や看護師のドラマも濃い。真犯人をみつけるより主人公の成長が魅力。生首があっちこっちするのはアリなのか?と思ったけどおもしろいからよい。最後に新展開!トレイシーが心残り…2021/09/29

こばまり

50
期待以上の面白さだった。ミステリーとしても読ませるし、屈託のある人物描写等、文学としてのエレガンスも感じる。1つ投げっ放しの伏線があるように思うが、あれはあれでよいのだとも。最後の1行、主人公の一言には文字通りシビレた。これ一冊でお別れしてしまうには名残惜しいチャーミングな青年だ。2016/06/22

papako

46
Readerストアで気になって。アスペルガーの主人公が父親の死を理解しようと解剖学を学び、解剖実習の献体が殺されていたことに気づき、そして犯人を追い詰める。アスペルガーの主人公の思考や行動が、こうなのかなぁと思わないでもなかったです。自分のルールで行動するが、ラストには母親に手を差しのべられるようになった!『メーターがあがっちゃうだろ』笑ってしまいました。2016/02/25

yoshimi

38
面白かった。アスペルガーの大学生が主人公なのだけど、とてもリアルに生き生きと描かれていて、あっという間に引き込まれた。かなりの取材量だったことが伺われる。構成も巧妙でミステリという要素だけでなく、母子の複雑な関係も読み応えがあり大満足。ラストの潔さも好き。2017/02/12

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