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内容説明
人間が秘める能力を最大限に活かすオートポイエーシス(自己制作)の哲学の視点から、科学者の寺田寅彦など、難局に直面しても躍動感のある精神を保ち、新たな可能性を切り拓いた人々の生涯に自己実現の知恵を探る。
目次
序章 束の間の少年―“少年知”の輪郭(ピーターパン 少年の「類似体」)
第1章 不思議さのさなかを生きる―寺田寅彦(一八七八~一九三五年):永遠の科学少年(少年が生きる不思議さの感覚 多様な現象を見る眼の形成 自己組織化する世界のなかで 感性による推論)
第2章 身の丈を一歩超え続ける―アンリ・マティス(一八六九~一九五四年):終わりのない工夫の連鎖(「ふんわりとした解放感」の人 色の発見 時代の偶然 相棒)
第3章 成熟しないシステム―坂口安吾(一九〇六~一九五五年):人間の番外地(無垢の魂 おのずと欠落していくものへの快と「非哀」 “束の間の少年”の結晶体 異系発達の者たちの傍らにいる安吾)
終章 オートポイエーシス少年―哲学の彼方へ(オートポイエーシスとは何か オートポイエーシスの応用)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
3
著者の言葉で言えば「尻」でなく「ケツ」である。前者が身体部位を指示するのに比べ、後者は発話者の感情や情動や行為等「少年」を想起させる複合運動系が働いている。本書での「少年」とは見つけ、のめりこみ、飽きてさらに別のものを見つけ・・・という一連の行為の比喩(経験のモード)である。各々その形容句を付された3つの固有名(不思議さを生きる寺田寅彦、身の丈を一歩超えるマティス、成熟しない坂口安吾)にまつわるエピソードはその入口であり、生命・意識・認識の各システムのサンプルとして読者の理解を促す以上にその経験に訴える。2017/09/28
Tenouji
3
オートポイエーシスそのものの話ではなく、柔軟な生き方をした著名人の話しを通して、変化と可能性について語る書。それは、オートポイエーシス的なものの本質でもあると…昔、私がなぜ尻を褒められたか良くわかったw。2016/02/11
マウンテンゴリラ
3
単なる科学理論ではなく、近代を超克する哲学としての意義を示すために、あえて近代科学の客観的方法論をとらず、ある特定の人物たちの生き方を通じて、その思想の枠組みを提示しようとしたものだろうか。本書を、私のようにオートポイエーシスというものを論理的に把握したいという思いで読み始めた者は、自己の固定的枠組みの中でもがき、ますます分からなくなるということを突きつけられたような気がした。無用な固定観念を捨て、少年のように無目的で、無計画で、無秩序にさえ見える経験に踏み出すことによって「わたし」が形成される、→(2)2015/10/21
左手爆弾
3
成熟を知らない少年の瑞々しさ。すべすべとした、しなやかで弾力を持つ尻(筆者の用語で言うとケツ)に象徴される、自由闊達で柔らかな有り様。それを寺田寅彦・マティス・坂口安吾の経験のモードを通して探る試み。ただし、「意味の宙吊り」や「像的思考」、「(別の仕方での)個体化のプロセス」などは別の著作でも論じられていることであり、あまり新鮮味はない。というか、日本人は本質を無化し別の構成に変化させるのはとてもうまい。日本人の前では民主主義も資本主義も、あらゆる主義が宙吊りにされ、何ものでもないものに再構成される。2014/06/08
Hiroki Nishizumi
1
書いてある内容は読めるし、その瞬間は理解出来るが、何かしら腑に落ちない。分からない。自分には時期尚早か‥‥2017/01/25
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