内容説明
日本の“真正保守”は、なぜやたらと社会を“革新”したがるのか? 保守とネット右翼・愛国主義はどこが違うのか? ヒューム、バーク、トクヴィル、バジョット、シュミット、ハイエク……西欧の保守思想の源流から、本来の保守が持つ制度的エッセンスを取り出し、民主主義の暴走から社会を守るための仕組みを洞察する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
53
保守主義思想家、ヒューム、バーク、トクヴィル、バジョット、シュミット、ハイエク6名の肝をそれぞれまとめて、最終章で日本の保守主義についてを語る。左でも右でもない著者による解説は実に明快だ。政治思想については個人的に知識も少ないがなかなかおもしろい。個人的にヒュームとシュミットに興味を持った。哲学者としてしかヒュームを知らなかったが政治思想に関わってくるのは少し驚いた。確かに理性よりも習慣や経験を重視するのは保守主義だ。シュミットは危ないが魅力的だ。あとがきの著者の嘆きは非常に共感。良書。2016/09/24
ころこ
48
著者のいう「精神論」とは、要するに右派のことだ。保守主義とは、今日的な言葉では習慣的な諸制度を具体的に観察し、それがどの様に機能しているか検討した上で、どの様に生かしていくかは日常的なやり取りの積み重ねに由来する、と定義づけられる。本書ではヨーロッパの保守思想の伝統を紐解いて、ヒューム、バーク、トクヴィル、バジョット、シュミット、ハイエクが紹介されている。保守主義は面子が限られてくるが、バジェットのことは名前すらも知らなかった。各思想家に対する著者の色を出さない穏当な解説。その中にバークとベンサムの比較、2023/09/11
yamikin
6
「これから」の社会を論じるブームのなか、「これまで」がなぜ続いてきたのかを考えることは忘れられがちである。我々の社会は必ずしも理性的にゆえにうまくいっているわけではなく、むしろ慣習・情念によって社会を成り立たせてきたし、そちらのほうが信頼できるというのが保守主義の基本的な立場だ(ヒューム)。 何人かの保守主義思想家が紹介されているがもっとも注目したのはバジョット。一見無駄だったり、有名無実化しているものも、本来の目的とは違った形でそれに効用がある、という見方は我が国の諸政策を思い浮かべるとすぐに腑に落ちる2014/05/26
たろーたん
3
バークやシュミット等の保守主義者は、キリスト教的な共通の秩序がかつては存在したことを指摘し、国家間の慣習的な関係に支えられる「共同社会」としてのヨーロッパに注目する。しかし、日本だとバークの言う「共同社会」や、シュミットの「ヨーロッパ公法」のような明確な形を取って、各国の行動を制約する共通の認識枠組みにまで発展することはなかった。そのため、具体的な政治秩序としての「東アジア共同体」を構想しても、ユートピア的理想論に留まらざるを得ない。(続)2025/12/14
Yoshihiro Yamamoto
3
A+ 保守主義者と見なされるヒューム、バーク、トクヴィル、バジョット、シュミット、ハイエクの思想を平易に解説。著者は6人を「慣習的に形成される法・政治・経済『制度』の重要性を指摘した「制度的保守主義者の流れ」として捉えている。日本では明治維新があったため、天皇制を除いて守るべき制度がなかなか見当たらないので「精神論」や「文化論」の形でしか保守思想を展開しにくい、との著者の指摘は興味深い。慣習的なもの=古いものとして見下してしまいがちだが、これらによって、社会は円滑に動いている点を見直す必要がある。秀逸!2014/11/19
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