内容説明
弱電会社の社員の夫とともに、娘を連れてパリから日本に戻った永子。同居する姑や小姑とのトラブル、娘の教育問題……外交官の両親をもち海外暮らしが長かった永子は、想像を絶する日本的な気苦労のまっただ中におかれる。忍従の先の幸せが、はたしてあるのか? そんな中、陰ながら永子を支えるひとりの男の存在で心は揺れ動く。“家庭”という迷宮の光と影を描き出す、傑作人間ドラマ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
120
平岩弓枝の日本の女たちを描いた小説は、好きで時々読みたくなります。今作は、7歳の娘と親子3人が8年ぶりにパリから帰国して、姑と婚期遅れの小姑との同居から幕が上がる。ストーリーは、嫁と姑、子供の教育、夫婦の波風、浮気、不倫…と家庭の明暗を平岩さんらしいキメ細かさで描いていて飽きさせません。唯々、情け容赦のない嫁いびりだけは読むのが辛かった。著者がここまで惨く描くのは、姑たち以外の人々のやさしさ親切な人柄を強調する意図なのだろうか、と思った。クセになる平岩小説です。別作品が読みたくなります。2017/11/21
優希
39
女性にとっての幸せとは何だろうと考えさせられました。家庭を守ることは本当に幸せなのでしょうか。2022/07/30
もりの
3
義母家族に振り回されててばかりかとイライラしたけど、自分で職を持ってからは自立したメンタルに切り替わっていって良かった。結局、女は育児家事仕事全部やるんだよな。頑張らないと。2024/08/16
rie
2
ところどころ「ん?」と思うような不自然な喋り言葉が少し気になった。(かなり昔の作品だからかな?)ラストに関しては「これで良かったのだ」と思う半面、物足りなさも感じる。序盤の姑と小姑達の主人公への態度が酷すぎて読みながら相当いらいらしました。2018/02/13
えももゆmama
2
久々に平岩弓枝さんを読みました。昭和時代の嫁姑話ですが、小説としての安定感が凄い。ザ・小説。1日で読み終えましたが、作品のどっしりとした安定感に、奇異は全く衒ってないのですが記憶に残る話です。これが作家の力量ですかね〜。2015/03/01