内容説明
各界が絶賛し、第67回毎日出版文化賞特別賞を受賞した偉業『謹訳 源氏物語』(全10巻)。その著者・林望が読み解く日本文学の至宝『源氏物語』のエッセンス。その名文、その名場面、その汲めども尽きぬ面白さを味わいつくすめの十三の視点とは――。なぜ紫式部は、光源氏の死を描かなかったのか?
目次
親子の物語としての源氏物語
女としての当たり前
色好みの魂
源氏は食えぬ男
明石の入道はどんな人?
垣間見の視線
とかく夫婦というものは…
この巧みな語り口を見よ
女親の視線の「うつくしさ」
奥深い名文の味わい
源氏物語は「死」をいかに描いたか
濡れ場の研究
救済される紫上
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
獺祭魚の食客@鯨鯢
76
イギリス通というより本来の国文学者として大学教授の職を辞して上梓した硬質な味わいを源氏物語。 最近、講読する会で、さわりを目隠し読みして作者を当てる読み比べる機会がありました。著者のものは上品かつ簡潔で読みやすいとの印象を持ちました。 谷崎潤一郎氏とともに男性であるがゆえに表現できるのでしょうか。林氏は紫式部を「両性具有」の作家と評しています。(興福寺の阿修羅像のようでしょうか) 話がズレますが岩井俊二、松本隆の両氏の描く作品も女心を繊細に描いていて好きです。2020/03/20
アルピニア
61
作者の林望氏(国文学者)は、源氏物語の現代語訳を書きたいがために東京藝術大学助教授の職を辞して作家になったという。この本は、林氏が訳を執筆している間に注記しておいた「様々な視点からの自分なりの読み」「切り口のアイディア」をまとめたもの。これまで私が読んだいくつかの解説とは一味違う男性視点の読みを味わった。氏は「男にしかわからないような男心の動きが書き込まれている。作者は両性具有的天才」と惜しみない賛辞を送っている。「源氏は食えぬ男」「垣間見の視線」の章が特に興味深かった。→2018/12/05
NORI
20
源氏物語の見どころ解説。悪役・弘徽殿の女御も、彼女目線で読んでみると家族思いの人柄と悲劇のヒロイン的側面が見えてくる。空蝉の垣間見シーン、女を盗み見る源氏の視線が、上下を舐めるように移動し、ズームアップし、旋回し、まるで映画のカメラワークのように動き回る。明石の入道の人物描写は。葵上の死の場面では。13の視点での一歩踏み込んだ解説で、千年経っても色褪せないその魅力に迫る。源氏物語の全体像をそれなりに掴んでいる人向けだとは思うけれど、これから触れてみる方が、源氏物語本体と併読するのもアリかもしれない。2025/01/10
LUNE MER
13
源氏を読む前にポイントを予習する、という本ではなく、源氏を読み終えた後で「あのシーンはこういうシーンだったんだよ」って種明かしされるような、そんな本。いいねぇ、また読みたくなるねぇ源氏(今年に入ってすでに2回目の源氏の最中だけど)。特に視野が開けたのは「救済される紫上」の章。紫上が怨霊になるどころかいかに救済される構造になっているのかが説得力をもって論じられており白眉。「濡れ場の研究」の章は…「光る源氏の物語」での熱弁の勝ち(切り口とか結論は同じなんだけどね(笑))。2020/03/02
mipoco
9
【図書本】13の視点で源氏物語がわかりやすく、時にはネタバレですか?と思う感じに書いてあるので非常におもしろく読めた。2017/03/24
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