内容説明
「よもの海みなはらからと思ふ世に……」、それは本来言葉を発してはいけない天皇が、戦争を避けるためにあえて読み上げた御製であった。しかしその意思とはうらはらに、軍部強硬派による開戦の口実に利用され、さらに戦後の戦争責任にも影響を及ぼしていく……。御製はいかに翻弄されていったのか――知られざる昭和史秘話。※単行本に掲載の写真は、電子版では一部収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鯖
16
「よもの海みなはらからと思う世になど波風のたちさわぐらむ」日露戦争開戦が決定した折、明治帝が平和と国や民の安寧を願い悲痛な思いで詠んだ歌を、昭和帝が開戦の決断を迫られる御前会議で詠みあげた謎に迫る。ヒストリアで特集されてたので、手に取ったが、ページ数はあるものの散漫な印象。戦後渡米した折、この歌をふまえたと思われる発言もあったという指摘が興味深い。美濃部の主張する天皇機関説に「機関でいいじゃないか…」と呟いたという昭和帝。開戦の折、明治帝は泣き崩れ、昭和帝の御製のメモを持つ手はわなわなと震えていたという。2019/08/31
春はあけぼの
15
昭和16年9月」6日 御前会議にて通常はご発言されない昭和天皇が、明治天皇の「よもの海みなはらからと思ふ世になど波風のたちさわぐらむ」を詠みあげられ、平和への強い思いを発言されたと、近衛手記から。様々な資料を基に昭和天皇の戦争への想いとその後の歴史が書かれており私には新しく知ることが山盛りでした。 明治天皇、昭和天皇が沢山の和歌を詠まれて思いを残されたこと、周囲の多くの(私には)歴史上の方々の動きも知ることが出来た。また、一色ゆりさんという存在も知って驚き。近代史はもっと知りたいことだらけ。2024/04/24
犬養三千代
5
心が痛む読書だった。中学生の時「和歌山国体」に行かれるお姿を天王寺駅で拝見。もう、よぼよぼでこの年齢になるまでご公務をしなければならないのかなあと思った。祖母と同年齢で祖母宅には明治天皇と皇后さま、昭和天皇と皇后さまの写真が飾ってあった。敬い、親しんだ陛下だった。いま、この本に出会えて良かった。2024/08/30
乱読家 護る会支持!
4
陛下の御意志は平和であるのに、なぜその後の開戦へと突き進んだのか、、、 本書の結論をざっくりと書くならば、、、 「よもの海」には戦争容認の解釈も含まれており、陸軍エリートに官僚がそのことに気づいたために、日米開戦にストップがかけられなかった。 「一度決めたことは変えられない」 「みんなで決めたことは変えられない」 「前例あるものは変えられない」 日本人の思考の硬直さは、今も続いていますね。政治家は柔軟な思考を持ってもらいたいものです。2024/12/09
Meistersinger
3
御製「よもの海」が実は日露開戦が決まってから詠まれた、明治天皇の忸怩たる心情からのものであり、昭和天皇の意志に反して「開戦やむなし」と利用されていく。ただ後半に入り、和歌関係の他のネタも入り、少し混乱。「昭和天皇の空気による親政」は面白い観点だが、尻切れ的。これだけでも一冊書けそう。2015/01/16
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