屋根屋

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屋根屋

  • 著者名:村田喜代子【著】
  • 価格 ¥1,672(本体¥1,520)
  • 講談社(2014/05発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062187749

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内容説明

雨漏りのする屋根の修繕にやってきた工務店の男は永瀬といった。木訥な大男で、仕事ぶりは堅実。彼は妻の死から神経を病み、その治療として夢日記を付けている。永瀬屋根屋によれば、トレーニングによって、誰でも自在に夢を見ることができるという。「奥さんが上手に夢を見ることが出来るごとなったら、私がそのうち素晴らしか所に案内ばしましょう」。以来、二人は夢の中で、法隆寺やフランスの大聖堂へと出かけるのだった。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

124
この作者一作目に『焼野まで』を読んだが、 あれは随分と特殊な状況で書かれたもので、普段の村田喜代子氏の作品ではなかったのだとこれを読んで思った。雨漏りする屋根の修理を頼むと来た修理屋にお茶を出すあたりから、なんともヌルッとしてくる。何かを作って食べさせるというのは、妖しいことと思えてしまう。だから、夢紀行自体がただならぬ事と映る。夢に現をぬかした先にあるものは。まあ、夢といえどいつまでも続くわけにもいかぬ、な。2018/07/11

tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

109
☆5.0 自宅の雨漏りの修理にやってきた屋根屋は、夢を見る達人だった。 トレーニングを積めば、誰でも自在に夢を操れるようになるという。 彼の誘いに乗り二人は夢の中の旅へ一緒に出かけるようになるのだった。 法隆寺の五重塔やフランスのアミアン大聖堂の屋根に登り パリのレストランではエスカルゴとチーズを堪能し、真っ白なヒマラヤの峰々を上空から拝む。 九州訛りの木訥な屋根屋と、 中年主婦の夢の邂逅は、不思議な官能をたたえながら、幻想の世界を飛翔する。2021/03/08

アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯

80
屋根の修理に来た男、屋根屋の永瀬と、思春期の男の子を持つ40代の主婦とが互いの夢を行き来する不思議な物語。ラブストーリーなのか?ファンタジーなのか?夢の中で法隆寺やフランスの大聖堂へ、自由自在に。屋根屋の永瀬はなんてさびしい男なんだろう。永瀬のさびしさに胸が苦しくて涙が出そうだった。永瀬は夢をコントロールしているつもりでも、互いの夢を行き来することで神経を擦り減らし、夢に捕らえられてしまったのかしら?読み終えて、ぼんやりとしてしまった。2016/09/29

どんぐり

80
屋根専門の工務店「永瀬屋根屋」の主と雨漏り修理を依頼した奥さんの二人が、夢の中で京都の寺やパリの大聖堂などにある屋根をめぐる旅。これはファンタジーであり、現実世界が次第に夢の中に取り込まれていく不思議な小説である。「夢でお会いしましょう」と、空を飛んだり、大聖堂の屋根から飛び降りたり、まるで冒険活劇のようである。「人間は1日2時間夢の中にいるとして1年で730時間、80年生きたとして5万8400時間。実に6年間以上も夢を見続けていることになる」。楽しい夢を見るなら夢の中で生きるのも決して悪くはない。2015/02/18

なゆ

77
フワフワとした不思議で奇妙な余韻が離れない。表紙のシャガールの絵が、作品の世界観と合いすぎててコワいくらい。そう、夢の中のワンシーンそのもののようで。屋根屋の男と夢の中で落ちあって、夜な夜な屋根の旅へと飛びまわる主婦みのり。2人の屋根に寄せる想念が生み出したまぼろし。冒険活劇ランデヴー。現実ではなく夢の中…とはいえ、時々ドキッと思わせぶりなこともありつつ、みのりも私もだんだん夢なのか現実なのかモヤモヤしてくる。もの哀しくもあるちょっと意外なラストもよかった。夢は脳の排泄物、に納得。夢日記つけてみたい。2015/01/15

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