内容説明
飛行機事故で突然この世を去ってしまった、義兄・最上圭一。優秀な音響技術者だった彼は、遺書とは別に「うさぎ」宛に不思議な“音のメッセージ”を遺していた。圭一から「うさぎ」と呼ばれ、可愛がられていたリツ子は、早速メッセージを聞くことに。環境庁が選定した、日本の音風景百選を録音したものと思われるが、どこか不自然なひっかかりを覚える。謎を抱えながら、録音されたと思しき音源を訪ね歩くうちに、リツ子は奇妙な矛盾に気づく――。横浜、札幌、山口、香川、岩手……、音風景を巡る謎を、旅情豊かに描いた連作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
90
再読です。本当に最後の作品のようですが、実際には8章で終わっていますが北森さんは続けたかったのかもしれません。飛行機事故で亡くなった義理の兄が集めた日本の音100選で行ったところを主人公の女性がたどり、そこでの知り合った人物とのやり取りが書かれています。最後近くとなると何やら義理の兄と関係あった人物が登場して、また義理の兄の死に方も・・・・、ということで謎が解かれていきます。が、若干すっきりとしない感じも受けました。2023/09/29
yu
63
義理の兄が飛行機事故で不慮の死を遂げる。 うさぎと呼ばれていた義妹の美月に残された音源。そこに隠された謎。 そしてもう一人、うさぎと呼ばれていた人物の存在。 切ないお話なのかと思いきや、まさかのラストに驚愕。 改めて、北森さんの凄さを痛感できる作品だった。2014/05/12
KAZOO
48
ミステリーズ!という雑誌に連載されていたので読んでいましたが、文庫本が出たので読みなおしました。やはりとぎれとぎれに読むよりも一気に読んだほうが楽しめます。北森さんの本当に最後の連作集だそうです。連作ですが、最後まで読むと一つの長編ということになっています。いかにも北森さんらしさがよく出ている作品だと感じました。2014/04/23
RIN
43
連載終了後急逝されて出版された遺作。恐らく単行本化にあたって通常なされるであろう校正や加筆等々がなされなかったため北森さん作品としては完成度にやや難ありだが、それでも北森さんらしい独特のもの哀しさ切なさに胸を締め付けられる良作。「連作長編」という紹介が正鵠を得た表現。哀しいのにしっとり穏やかな読後感に浸れる不思議な作品。2014/12/26
エンリケ
41
初読みの作家さんだがこれが遺作とのこと。解説者が擁護しておられたが、推敲不足なのか何処か散漫な印象を受けた。しかしプロットは大したもの。旅の途中で解かれる小さな謎と、大筋の謎が平行して好奇心を刺激され続けた。亡くなった音響技師の残した音を巡る謎。しかしそれは遺された者を翻弄し、悲劇的な道行きを辿る。そして彼の死の真相は衝撃的。作中感じていた不協和音の正体に愕然とした。彼は中々の好人物だったらしいが、これは彼の優柔不断が招いた悲劇ともいえる。未完結の様なお話の続きを想像すると背筋が寒くなった。2016/12/09




