岩波新書<br> ひとり親家庭

個数:1
紙書籍版価格
¥1,012
  • 電子書籍
  • Reader

岩波新書
ひとり親家庭

  • 著者名:赤石千衣子
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2014/06発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004314813

ファイル: /

"Reader"および"Reader"ロゴは、ソニー株式会社の商標です。

内容説明

日本社会において、ひとり親であるとはどのような状況なのか。
なぜこうも生きづらいのか。
彼女/彼らの苦境を放置することによって、この社会がこうむる影響とは何か。
自らもシングルマザーとして三〇年以上、当事者に寄り添いつづけてきた著者が、現状の課題を整理し、ひとりで子どもを育てる人々の生活を豊かにする道筋を提起する。

目次

はじめに
   年収一〇〇~二〇〇万円の暮らし/一〇代のシングルマザー/シングルファーザーの生活困難/底抜けするひとり親の生活
 1章 ひとり親家庭の現在
   四〇年前から二倍になったシングルマザー/ドメスティック・バイオレンスや経済問題が動機に/生活が苦しい/就労率は高いのに低収入/不安定な雇用が生活不安を招く/ひとり親の学歴格差/住まいの貧困/養育費は五人に一人、しかも低額/時間の貧困が何を招くか/見えてきた父子家庭の困難
 2章 私たちも「ひとり親」
   保育料を払えず滞納一〇〇万円──別居母子/知られていない別居中の困難/逃げたあとも大変──配偶者からの暴力/続く多重的困難/DVの子どもたちへの影響/モラル・ハラスメントから逃れて/非婚シングルマザーの排除/ 「<KOKAGIB/>おめかけさん<KOKAGIE/>だから」と児童扶養手当からの排除案/認知による支給停止/非婚のシングルマザーの現状/寡婦控除が適用されない/増える再婚/高齢シングルマザー
 3章 スタートラインからの不利 ──ひとり親の子どもたち
   一人で過ごす子どもたち/もっとも困るのは病気のとき/学校社会からの排除/友達づきあい、いじめ、不登校など/経済状況が学校生活・進学へ影響する/所得格差と教育/バイトに吸い寄せられる子どもたち/母親との関係/母役割、父役割を果たせないのか/ひとり親と虐待──大本は貧困を含めた困難/母親の恋人/別れた父親との関係/周囲の援助/ひとり立ちが難しい
 4章 女性の貧困が子どもの貧困を招く
   子育て中の女性は稼げない/男性稼ぎ主型家族とシステム/正社員になりたいが/シングルファーザーの不利/シングルマザーとシングルファーザーは同じ?/親族頼みのひとり親/親族援助の階層差/親族以外のつながり/非正規化の波がかぶさる/保険料が高くて払えない/所得再分配が機能していない/貧困層ほど性別役割意識が強く、不利な選択を/風俗業で実現する「ワーク・ライフ・バランス」
 5章 パイが拡大しないひとり親支援
   少ない生活保護受給世帯/児童扶養手当のほうがカバーしている/母子家庭が生活保護を受給するということ/【コラム1】 生活保護の同行支援/【コラム2】 DV被害のあと生活保護を受給しているTさんからの手紙/児童扶養手当制度の変遷/【コラム3】 児童扶養手当を18歳に引き上げる会/検証なき就労支援施策/地域格差の大きい母子家庭等就業・自立支援センター/在宅就業支援の怪
 6章 求められる支援を考える
   子どもたちの野外活動を支援/食料支援の可能性/病児保育の訪問支援に「ひとり親支援プラン」/シングルマザー向けシェアハウス/シングルマザーを管理職にする支援/ほっとサロン/広がる学習支援の輪/支援につながりにくい人々とつながる/子どもから親の支援へつなげる/どんな施策が求められているのか/今必要なひとり親のための施策/【コラム4】 旭川市のファミリーサポート事業
   おわりに
   主要引用・参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みゃーこ

58
一人親になった事情によりそもそもの条件が違うのに一律に古い家父長制時代の価値観に「標準」モデルとして様々な施策を形成していることから様々な矛盾点が噴出してきている。子供は親を選べない。親の事情で子供が差別を受けることが奇妙にまかり通っている現行制度に誰もが疑問に感じるが実現可能性の高い根本的な解決法が未だ見いだされらにのは体制側の陰謀だろう。根本の願いは女でも男でも働いていても働いていなくて、子供が安心して育てられる社会の実現ではないだろうか。2014/11/24

どんぐり

50
約35%の母子世帯が年収100万円から200万円で暮らしている。正規職員のシングルマザーの平均年間就労収入が270万円であるのに対し、非正規の場合は125万円(2011年全国母子世帯等調査)。ひとり親家庭のシングルマザーとその子どもの置かれている状況はかくも厳しいものがある。ひとり親家庭に「“あるべき家族像”から逸脱した例外的な存在である」という見方をすることは、貧困家庭の子どもたちを社会全体がネグレクトし続けることに等しい。ひとり親家庭の現状をまず理解することから始めよう。2015/01/28

壱萬参仟縁

31
貧困とは、生活成り立たない、食べていけない、安心できる住居がない、働く場所がない、社会的に孤立している、人間的な暮らしができないこと(v頁)。2011年のデータでは、父子家庭よりも母子家庭が多いことがわかる(6倍4頁棒グラフ)。非正規シングルマザーは低収入(14頁~)。シングルファーザーは子どもと接する時間少ない(70頁)。社会が片親支援仕組み不十分。派遣法改正の自公政権では、一生涯非正規の酷なもの。批判の矛先は悪法にあり。2015/10/08

無識者

19
日本の社会で一人親として生活をしていくのが非常に難しい。日本の場合性的役割分業を前提に社会構築している。女性は男性の家計補助的存在として扱われ、それが長く低賃金・非正規に固定してきた。又日本では正社員と言えば長時間労働が前提で、それが子育てと日ごとを両立しなければならない一人親に対して大きな障害になってきた。2016/08/17

たんたん麺

17
「ひとり親が根本的に望んでいることは、女も男も子育てと両立するような時間に働き子どもが育てられる賃金を得られること、人間らしい労働と暮らしが実現できることである。そのためには税や年金や社会制度が多様な生き方に対して平等である制度が必要である」ひとり親がどれだけ生きづらいか読んでいて憂鬱になりました。だが読まなければいけない。この社会では問題ができても助けてくれないしけっして他人事ではないのだ。ひとり親のための「救援ノート」の役目も果たしているし実用的でもあるのですばらしい本です。2014/06/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/8058452
  • ご注意事項

最近チェックした商品