内容説明
まるで第一級の長篇小説のように面白い。
「生きていかなきゃならない夜がまだいっぱいありすぎる」――アメリカを逃れてカナダの港町ヴァンクーヴァーにやってきた謎に包まれた若い美女。彼女につきまとうジゴロ、ホテルのペントハウスに住む独身紳士、そして殺人課警視。彼女の部屋のバルコニーで発見された男の射殺体。悲劇的な女が投げこまれた花やかな、そして卑しい世界を、見事な台詞と小気味のいい展開で描いたフィルム・ノワールの逸品。
ユニバーサル社の資料室から発掘されたこの最終稿は、チャンドラー自らが「私が書いた映画脚本の中でも最高のひとつ」と自讃する。知られざる傑作を名訳で再刊したものを電子書籍化した。
丸谷才一はこの作品の初刊刊行時、〈これが文学でなくて何が文学か〉と題して、こう絶讃した(抜粋)。「いろいろな意味でおもしろい本だ。チャンドラー伝の一資料。彼の小説作法を映画性の側から考へるための重要な手がかり。フィリップ・マーロウのゐない物語をチャンドラーはどういふふうに作るか。しかし肝要なのは、このシナリオがまるで第一級の長篇小説のやうに楽しめるといふことだらう。……かういふ形でチャンドラーの作品をもう一つ読むことができるのは、幸せな話だつた」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
36
シナリオ。ヴァンクーヴァー行きの列車から始まる。チャードラーらしい謎めいた美しい女と、纏わりつく何人かの男。大都会の豪華なホテルの中の、卑しい世界。マティーニとビールとタバコ。ラストで動く人間らしい感情。悲しみにドライに寄り添うところも、チャンドラーっぽいのである。ハードボイルドなのである。2018/03/12
kochi
28
『ロンググッドバイ』ドラマ化記念読書。チャンドラーのマーロウ物最後の作品『プレイバック』の原型と言われている映画シナリオ。マーロウは登場しないし、あの台詞も出てこないが、気分はしっかりハードボイルド。思わず書き留めて、使ってみたいセリフも登場。正直言って、シナリオがこんなに面白いものだとは思わなかった。ト書きとともに記載されているカメラワークの指示などを読みながら、BGMを考えたり、俳優に注文する自分を想像したり、いろいろと楽しめる読書でした!2014/05/01
justdon'taskmewhatitwas
2
真実の暴露なんて野暮、捜査だってガキの使い、そんな大人の世界。今や寓話。2014/04/12
Toshihiro Fukutoku
1
RCに、期待感高まる。2014/09/10
キャラウェイ
1
小気味良い、ウィットに富んだ会話の応酬に感服させられた。2014/05/31
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