内容説明
人生最後の日々を過ごす老人とその孫娘の静かな同居生活を描く「寝相」。失業中の男、元女番長、なぜか地面を這うようになった小学生が織り成す異色の群像劇「わたしの小春日和」。奇妙な美しさを放つ庭を男女四人の視点で鮮明に描き出す「楽器」(新潮新人賞受賞作)。目を凝らし、耳を澄ませるための三つの物語。瞠目のデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Willie the Wildcat
58
三作共通に感じるのが「生」であり「音」。前者は光、後者は静けさ。理想と現実のGAPに揺れる心底から辿りつく気づきと悟りが光。一方、静けさとは、実際の音ではなく人生の波。顕著なのが表題作。寝る場所や一緒に横になる人等の差異の1つ1つが光となり、暗喩の音となる。共通項の1つが、他者の動性に自らの失った関係性を追い求めるかのような主人公の悲哀。『わたしの小春日和』は、特に混迷の心情を描写している気がする2016/10/21
かんらんしゃ🎡
57
このゆるさに浸っていられるなら、平凡な人生もまた味わい深いものになる。生者も死者も物質も渾然となり、記憶が混濁しているのかと思うような心象は悠久的であり宗教的でさえある。その奥にあるものは私なんかでは窺うことができない。しかしまあ、正直言って3編続けて読むと頭が疲れる。2018/05/27
ナミのママ
24
新潮新人賞受賞『楽器』を含む短編集、デビュー作。目の前に広がる世界に、人の中を流れる物語に、ただ目をこらし、耳を澄ますための3つの物語。…なんでもない日常を淡々と書きつづっています。バックミュージックのようで、気がつくと文字だけを目で追ってしまい、意識を集中するのに疲れました。自分の琴線に触れたものがあり、そこだけ目が覚めた気分です。読後、何を伝えたかったのかもわからないものばかりでした。これが作風なのでしょうか、若い作家さんのようなので、これからどんなものを書いていくのか気になります。2014/04/26
そうたそ
20
★★☆☆☆ 新潮新人賞受賞作を含む、ということで少し気になって手にとって見た。新潮新人賞といえば「工場」での小山田浩子さんのブレイクが記憶に新しいが、この作品も新人と思わせない相当な文章力であった。しかし筆力がある一方で、内容はどうも無味乾燥な印象が否めず、非常に読むのに苦労したというのが正直なところ。何が起こるわけでもなくつらつらと文章が綴られていくというような感じ。才能こそ感じたのだが、著者の次回作を手に取るかと言われれば、少し迷ってしまう。面白くないとも言い切れず、評価に迷う作品なのかもしれない。2014/06/16
Our Homeisland
19
芥川賞受賞作から読み始めて、これで滝口作品は4冊目。本作が単行本としてのデビューで、短編三篇収録の三篇目の「楽器」が出版社の新人賞を取っています。ここがスタートで、ここから芥川賞作家への道が進んだのだということが分かりました。特長としては、会話文と行替えが少なく、余白部分があまりに少なく文字がぎっしり、が1冊3篇にわたって続きます。なので、あまり読みやすくはありません。現像世界気味な展開もありますが、恒川、森見のどちらにも似ていないと感じました。ただ、相当違うとはいえ村上春樹の影響ありそうだと感じました。2019/07/25
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