内容説明
〈オレンジ賞受賞作〉半神の少年アキレウスに出会い、強い絆を結んだ王子パトロクロス。しかし、トロイア戦争が始まり、二人の上に暗い影を投げる……神々が人間に干渉するギリシア神話の世界を鮮やかに語り直した戦いと青春の物語/掲出の書影は底本のものです
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
106
「イリアス」の再話小説。前日譚、後日譚も語られ、トロイア戦争の流れを一通り味わえる。何よりも運命とされた最高の戦士として非情に槍を振るうばかりではないアキレウスの血の通った別の姿が情愛を込めて描かれていた。著者の文章には神話や英雄叙事詩への敬愛の念があり、同時に単純にこの世界観が好きという思いが伝わってくる。一人の人間としての心を留めさせる存在のパトロクロス。母親として溺愛する女神テティス。彼を愛する者たちと共にした運命の行方に戦と謀略の思惑が絡み合い、終盤はまさに叙事詩の如く物語が歌い上げられていた。2022/06/19
星落秋風五丈原
25
ヘクトールがパトロクロスの遺体を辱めたわけではないのでアキレウスが死者を辱めればその名声に傷がつく。名誉を重んじて戦争に参加したのに、誰にどう思われるかなんてどうでもいいかのように暴走するアキレウス。彼にここまでの行動を取らせたパトロクロスとは、いかなる人物だったのか?死すべき運命を負う人間・パトロクロスを主役に据えることで著者はその空白を見事に埋めた。そして『イーリアス』の内容を変えることなく、半神半人のアキレウスを現代の若者達が理解しうる存在に為した。自分が人生で出会ったさまざまな愛を見出す。2014/05/09
小太郎
19
この本は「イーリアス」をアキレウスじゃなくて、トロイア戦争で死んじゃうパトクロスの目から描いた作品。ギリシャ神話の世界がとても丁寧に女性の視線から書かれているのが素晴らしい。若い二人の成長物語としても完成度が高いと思います。2020/02/12
ayumi
5
古代ギリシャの伝説的英雄アキレウスを、時代に翻弄されるひとりの人として描いた物語。最高の戦士として讃えられながらも弱さや迷いを抱えて生きる姿が、従者パトロクロスの目線で描かれます。読み終わったあと表紙が目に入ったときに涙が出そうになったのは、わたしだけじゃないはず。こんなに美しい作品に出会えたことに感謝。2021/06/09
sika_meter
5
これ隠れた傑作(米ではベストセラーなので隠れてないが)!ギリシャ神話に詳しい人は賞賛し、特にギリシャ神話をあまり知らない私みたいな人(アキレス腱やトロイの木馬くらいしか知らなかった)はハラハラしながら楽しく読めてしまう。これも著者の知識量と整理力、そして何よりストーリーテリング能力のなせる技かと。パトロクロス目線の文体は、激しい感情を内包しながら抑制が効いていて、ひたすら物哀しくて美しい。元の「イーリアス」をちゃんと読みたくなったし、この著者の次の作品「Circe(キルケ)」 もすでに購入済。2019/01/28
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