岩波文庫<br> 茨木のり子詩集

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岩波文庫
茨木のり子詩集

  • 著者名:茨木のり子/谷川俊太郎
  • 価格 ¥770(本体¥700)
  • 岩波書店(2014/12発売)
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  • ISBN:9784003119518

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内容説明

青春を戦争の渦中に過ごした若い女性の,くやしさと,それゆえの,未来への夢.スパッと歯切れのいい言葉が断言的に出てくる,主張のある詩,論理の詩.ときには初々しく震え,またときには凛として顔を上げる.素直な表現で,人を励まし奮い立たせてくれる,「現代詩の長女」茨木のり子のエッセンス.(対談=大岡信,解説=小池昌代)

目次

目  次
   《選者のことば》初々しさ(谷川俊太郎)

  『対話』──(不知火社、一九五五 童話屋、二〇〇一)
  魂
  根府川の海
  対 話
  ひそかに
  武者修行
  内部からくさる桃
  こどもたち
  或る日の詩
  もっと強く
  準備する

  『見えない配達夫』──(飯塚書店、一九五八 童話屋、二〇〇一)
  見えない配達夫
  敵について
  ぎらりと光るダイヤのような日
  悪童たち
  六 月
  わたしが一番きれいだったとき
  小さな娘が思ったこと
  あほらしい唄
  はじめての町
  大学を出た奥さん
  怒るときと許すとき

  『鎮魂歌』──(思潮社、一九六五 童話屋、二〇〇一)
  花の名
  女の子のマーチ
  鯛
  大男のための子守唄
  本の街にて
  七 夕
  りゅうりぇんれんの物語

  『<CHAR char=茨/>木のり子詩集』──(現代詩文庫、一九六九)
  ゆめゆめ疑う
  ほうや草紙
  抜 く
  首 吊
  言いたくない言葉

  『人名詩集』──(山梨シルクセンター出版部、一九七一 童話屋、二〇〇二)
  くりかえしのうた
  大国屋洋服店
  兄 弟
  王様の耳
  箸
  居酒屋にて
  知
  トラの子

  『自分の感受性くらい』──(花神社、一九七七)
  詩集と刺繍
  自分の感受性くらい
  存在の哀れ
  青梅街道
  二人の左官屋
  波の音
  顔
  木の実
  四海波静

  『寸志』──(花神社、一九八二)
  幾千年
  落ちこぼれ
  冷えたビール
  苦い味
  笑って
  聴く力
  訪 問
  賑々しきなかの
  寸 志

  『<CHAR char=茨/>木のり子』(花神ブックス1)──(花神社、一九八五)
  活字を離れて
  一人は賑やか
  みずうみ

  『食卓に珈琲の匂い流れ』──(花神社、一九九二)
  部 屋
  足 跡
  答
  あいつ
  ある存在
  総督府へ行ってくる
  さくら
  四行詩

  『倚りかからず』──(筑摩書房、一九九九)
  木は旅が好き
  あのひとの棲む国
  鄙ぶりの唄
  お休みどころ
  時代おくれ
  倚りかからず
  笑う能力
  ピカソのぎょろ目
  水の星

  『<CHAR char=茨/>木のり子集 言の葉3』──(筑摩書房、二〇〇二)
  草
  行方不明の時間

  『歳月』──(花神社、二〇〇七)
  五 月
  その時
  夢
  お 経
  道づれ
  部 分
  駅
  夜の庭
  恋 唄
  一人のひと
  急がなくては
  なれる
   (存在)
  古 歌
  歳 月

 拾遺詩篇(詩集未収録作品)

  『<CHAR char=茨/>木のり子全詩集』所収「<KOKAGIB/>スクラップブック<KOKAGIE/>から」より──(花神社、二〇一〇)
  いさましい歌
  三月の唄
  六月の山
  五月の風は
  四月のうた
  山小屋のスタンプ
  それを選んだ
  通らなければ
  こわがらない
  かの名称
  詩
  みかんの木
  麦藁帽子に
  灯
   《対談》美しい言葉を求めて(<CHAR char=茨/>木のり子・大岡信)
   水音たかく──解説に代えて(小池昌代)
   <CHAR char=茨/>木のり子略年譜(宮崎治)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さゆ

123
戦争作品は、惨状や思想など巨視で捉えられがちだが、これは作者の内面が描かれており貴重に感じた。谷川俊太郎は、「わたしが一番きれいだったとき」の異国の音楽に酔う、敗戦が認めがたかった、長生きを決める部分を省く方がいいと言ったようで、確かに無いと戦時中の心の頑なさや寂しさが記されシンプルになる。だが、あえて入れることで相反する気持ちを抱えつつも生きていくという強い想いと長い人生の展望も見えてくる。まさに男性は落ち込むとずるずる引きずる反面、女性は切り替えて希望を見失わない強さの表れと思った。「花の名」も良い。2023/12/15

はっせー

114
詩集。その中でもやっぱり茨木のり子さんが好きだ!なぜだかわかる。それは一瞬でわかることができないがじわじわと心打たれるものがあるからだと思う。今まで倚りかからずを読んだことがあり茨木のり子はとても優しくそして自立した人だと思っていた。頑張ってみてと背中を叩くような優しくてでもちょっぴり強めな人だと。だがこの本を読むとそのイメージが変わる。それは倚りかからずの詩集を書くタイミングで夫を無くしたからだ。だからこそ自分でやらないといけないという決意があった。この本はその決意よりももっと優しい気がする2022/07/14

ちゃちゃ

89
「わたしが一番きれいだったとき/わたしの国は戦争で負けた/そんな馬鹿なことってあるものか」ご存じ、茨木のり子氏の代表作『私が一番きれいだったとき』の一節。貴重な青春期を戦争に奪われた悔しさ。日本の勝利を信じひたすら我慢と忍耐を続けた日々。彼女の詩は、戦争に限らず理不尽な社会や時代への憤りに満ちている。しかし、その責任の所在を曖昧にせず鋭く追及し、自らの問題として表現する潔さがある。『自分の感受性くらい』や『倚りかからず』等、どこまでも自己を厳しく見つめる彼女の凜とした姿勢は私たちの指針となる。終戦の日に。2017/08/15

Gotoran

88
『詩のこころを読む』を読み、その著者茨木のり子氏(戦中戦後を生き日本を代表する詩人)の詩に対する熱い思い、鋭い感性に魅入られ、本書へ(日本を代表する詩人谷川俊太郎氏選)。鋭利で歯切れの良い言葉、研ぎ澄まされた言葉の威力、静謐で素直な言葉が心に沁みる。「わたしが一番きれいだったとき」「自分の感性くらい」他の代表作も良いが、早逝の夫への思いを詠った『歳月』(15編の詩)と中国人強制労働者(劉連仁)の悲劇を詠った珠玉の叙事詩「りゅうりぇんれんの物語』が時に印象深かった。2014/10/02

藤月はな(灯れ松明の火)

81
真の自立とは、真摯さとは、優しさとは何か。茨木のり子さんの詩は読者に問いかけてくる。「冷えたビール」の手に入れたいと思っていたものが常に手に入るようになった途端に有難みが薄れる味気無さと慣れゆえの浅薄さは人間だからか。「総督府にいってくる」と一番、長編の「りゅうりぇんれんの物語」は日本がアジア圏の人々に何をしたかに冷たい手で心を握られたようだった。そして「その時」は茨城のり子さんの旦那さんに対しての愛とそれ故の透き通った悲しみがある。詩の中では「落ちこぼれ」と「行方不明の時間」が一等、好きだ。2022/06/26

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