内容説明
上様、そんな理不尽な――織田信長は、出自にかかわらず、力ある者を抜擢したことで、天下人へと駆け上がった。しかし、その裏では、成果至上主義にとまどい、翻弄された家臣たちが……。兄か、あるじ信長かを選ぶ破目に陥って悩む佐々内蔵助、合戦ではなく筆で身をたてようと決意する楠木長諳、信長の成功を真似て無謀な策に打って出る別喜右近など、あるじに振り回されつつも懸命に生きる男たちを、彼らの目線で描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
47
信長を「あるじ」とした8人の武将たちの短編集です。信長の生涯は色々語られますが、僕のことは殆ど語られていないので興味深く読みました。面白かったです。 2022/07/17
ウィズ
21
岩井先生の作品は、いい意味でライトでサクッと読めます。2014/03/31
木賊
19
あるじシリーズ第一弾。短編8本収録。信長という、成果至上主義の主に振り回される家臣達を描く。どの話も、主人公が秀吉や光秀のような出世頭ではないだけに、常人の、人間的な悲哀が面白い。本能寺の変への経緯を猪子兵助の視点で描いた『たわけに候』が良かった。2017/04/29
to boy
15
そこそこ面白かったが期待ほどではありませんでした。信長を巡る人たちの小話です。でも、ふと思いました。家来と現代のサラリーマンの違い。家来は個人(信長)に従いますが会社員は組織に従うと。組織は部門長が入れ替わるので流動性があるということです。2014/04/04
maito/まいと
14
信長をあるじに持ったことで人生狂った方々の短編集。でも、ちゃんと読むと信長のせいじゃないことがほとんどなんだけど(苦笑)尾張の一領主でしかなかった信長が飛躍していく過程に置いて、その流れに乗っていったように見えた家臣たち。でも欲望まで解放したが故に、えらい目にあってるなあ。ちゃんと規模や組織と一緒に変わっていかないと、こうなる、っていう教訓になる1冊(涙)2019/02/14