- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
和歌芸術の黄金期、新古今時代。帝王・後鳥羽院は式子内親王をはじめ多くの女性を歌壇に招き入れた。従来の規範にとらわれることなく活躍の場を広げていった女性たち。自らの才で時代を切り開いたその真の姿に迫る。
目次
第1章 権力者と才女たち―二百年をはさんで見る(『源氏物語』の時代―道長と女房文化 後鳥羽院の時代へ―帝王がひらいた黄金期)
第2章 式子内親王―後鳥羽院が敬愛した皇女(若きころの式子―斎院として、内親王として 和歌への情熱と精進―式子の百首歌と贈答歌 ほか)
第3章 女房歌人たち―新古今歌壇とその後(王権と女房歌人―規制と超越のはざま 後鳥羽院の革新―女房の専門歌人の育成 ほか)
第4章 女性歌人たちの中世―躍動と漂流と(「女歌」をめぐって―さまざまな言説 変遷する世―女院と女房歌人のゆくえ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みそさざえ
14
式子内親王の和歌にひかれ手に取ったが、発見が多く面白く読んだ。彼女が、当時、独自の道を歩む逸脱した存在であり、定家や若い後鳥羽天皇から一目置かれる歌人であったこと、題詠歌、百首歌という分類があり、バーチャルで歌を作ることも多かったことなど。また他の女房歌人についても興味深い知見を得られた。式子内親王の昔ながらの奥ゆかしい皇女のイメージが、現代でも大活躍しそうな自由人のイメージに変わった!2020/04/12
yumicomachi
7
式子内親王、宮内卿、俊成卿女の三名の歌と生涯を辿りながら中世初頭の歌壇についてわかりやすく解説するとともに、遡っては源氏物語の時代、下っては与謝野晶子にまで言及する。個人的には少しずつ勅撰集を読み進めてきて、『詞花集』まで読了したところでこの本に出会え、視界がクリアになった感。『千載集』『新古今集』へ進むのが楽しみになった。2014/05/18
kinaba
5
「花さそふ比良の山風吹きにけり漕ぎゆく舟の跡見ゆるまで」/ 最近読んだ新古今の本で宮内卿に興味をもったので読みました。大変面白かった。才能の煌めきで軽々と名歌を残したというのではなく、文字通り死ぬ思いで血反吐はきながら、理知的に計算され尽くした新しい歌をひねり出す、という形のほんの数年だけの活躍で世に名を残し早世された人。すさまじい2014/07/20
なお
5
式子内親王の歌に興味があるので購入。その歌のほとんどが題詠であり、式子内親王の真情や人生と重ねあわせすぎることの間違いを指摘。しかし、何もないところからは歌は生まれないと思うので、自分を男性に仮託しながら詠まれたとしても、式子内親王のなかの何かが歌い出されているのだろう、と私は思う。新古今和歌集を読みたくなりました。2014/06/11
shou
3
三者三様の女流歌人について、読みやすく興味深かった。歌を収集し研究を重ね、実体験とは異なる題詠や主体を男性に設定した歌が多いなど、現代だと歌壇より作家さんに近いイメ―ジ。皇女として自ら詠った式子内親王の型破りさはやはり後白河院の娘であったのだなと思わせる。煌めく才能で引き立てられた宮内卿が、血を吐きながら苦吟し続け早逝する様が印象的。2023/09/03