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内容説明
年の取り方がわからない! ――どこもかしこも若さ志向、加齢の手本となるべき年長者も見つからない社会で、我々はどのように年を重ねていくべきか。いま出版界で熱い注目を集めるオタク出身の精神科医が、「成熟消失」の時代を読み解く。(講談社現代新書)
目次
序章 年の取り方がわからない
第1章 「若作りうつ」に陥った人々の肖像
第2章 誰も何も言わなくなった
第3章 サブカルチャーと年の取り方
第4章 現代居住環境と年の取り方
第5章 二十一世紀のライフサイクル
終章 どのように年を取るべきか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
23
かわいいというのが年齢と性別を問わない褒め言葉となり、若さの謳歌と若返りの薬の広告に溢れて、若くあり続けることへの強迫的欲望にとり憑かれる一方、すてきな歳のとり方を誰も教えず、まわりを見てもこんなふうには歳をとりたくないと思う人ばかり。私自身も、こんな老人にならなってもいいと思えるのは渡辺京二さんぐらい。こんなときこそ古典、とりわけ成功者よりも敗残者の人生の仕舞いかたに学ぶべきではなかろうか。たとえば自らの治める国をギリシャ軍の劫火に焼き尽くされ、妻子は強姦されたトロイアの王プリアモスのような人の生き方に2020/08/04
黒猫
19
「アンチエイジング」の為に老若男女が必死でいる。一億総活躍社会というまやかし物に、定年は伸びた。年金ももう貰えるかわからない。その不安は、「豊かな長寿社会」の名の下にうやむやにされている。私はかねてから疑問でした。「アンチエイジング」って言っても、人間は老いて死ぬということです。CMを見て若々しい老人がサプリを飲んで「毎日健康」なんて言っているのだ。しかし、明日死ぬかもしれないのだ。延命健康よりも、そろそろ私たちは「いかに老いていくか。」という現実に目を向けていくべきだと強く思う。生老病死を見つめる事だ。2018/04/21
kaze
18
★★☆ 「若作りうつ」とは、年を取ることを拒絶する価値観の蔓延によって心身に不調をきたすこと。ライフサイクル論によれば中年には中年の、老年には老年の心理的課題があるという。最近めっきり色んなことに執着や欲がなくなってきて、我ながらどうよと思っていたが、これはこれで良いのか。むしろ幾つになっても「自分探し」なんかやっていたら「若作りうつ」まっしぐらなのか。類まれなる幼生成熟文化である日本のサブカルチャーが「カワイイ」とともに地球を席巻していくのは一面ではとても恐ろしいことなんだな。2014/06/10
くさてる
16
歳をとるということがどういうことか分からなくなってしまって足がすくんでしまっている社会の現状について、様々な視点から考察している内容。とても納得がいく論旨で進められていて、読みやすく面白かった。なにより実感として、ファンタジーではなく、現実に存在する自分が年を取った時の高齢者のロールモデルが見当たらないという思いは時々感じていたものだった。それをどうやっていけばいいのか?ということまで著者は提案しているけれど、けして極端なものではなく受け入れやすいものでした。良かったです。2014/03/19
かやん
11
年の取り方が個人の自由、自己責任になった日本。年相応なことをしなさいと言ってくれる人がいなくなり、若さにしがみつく人の大量発生・・・。きちんと年を取りたいと思いました。2015/05/28