内容説明
間をどう見るか? 昔から二つの見方があった。「性善説」と「性悪説」である。中国古典のなかで、性善説の立場をとっているのが孔子・孟子の教え、すなわち儒教である。これに対し、荀子は孔子の教えを受け継ぎながら、あえて性悪説を唱えた。人間の本性が悪だとすれば、放っておくと、社会そのものが成り立たなくなる。そこで荀子が重視したのは「教育」である。守るべき規範を定め、それをしっかりと教え込む必要があるのだという。日本は性善説で対応してきた社会。曲がりなりにもそれで治安が保たれてきたのは、世界でも稀な例だという。しかし、いまはその伝統も大きく揺らいできた。そこで、
・先人の失敗に学ぶ
・取ろうとするなら与えよ
・好調を持続するコツ
・知らないことは知らないと言う
・名君と暗君の違い
・臣下としての心得
・上にどう仕えるのか
など、現代にこそ必要な人としての基本を、わかりやすい解説で読む。
目次
1 実践篇(実行することに意味がある やる気を出そう ほか)
2 修養篇(人間の本性は悪である 人間には欲がある ほか)
3 人物篇(自分の運命は自分で切り開く 危うきに近寄らず ほか)
4 君臣篇(君主は舟、人民は水である 部下の能力を活かしているか ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かず
22
荀子。孟子の唱えた性善説を批判し、人は本来私欲しかないという性悪説を唱えた人です。私は10数年前、自己陶冶を目的に儒教、仏教といった東洋思想にハマりました。論語、中庸、大学、易経、陽明学等の本を読んだある時、儒教に潜むルサンチマン的感情に嫌気がさし、仏教に転身、漸く安寧を得た経験があります。以来、暫く思想書から遠ざかっていたのですが、我が身を日々省みる中で、身に付いていないことを痛切に感じるようになりました。それで、本書を購入したわけです。人間、最も大切なのは礼義、敬意こそが根源である、今はそう思います。2022/07/09
かいてぃ〜
16
初めての荀子。この新訳シリーズは非常に分かりやすく、古典入門者にはとても有り難いです。孔孟思想は読んでいて「そうありたいなぁ。いいなぁ。」と感じたが、荀子は「そうだよね、それはいいね。」という感覚でした。即ちそれが、高潔な理想主義と現実主義の違いかもしれません。然しながら、どちらの主義にしても「仁」、思いやりの心の大切さを学べます。折に古典に触れる事で、心の在り様を更に学びたいです。2017/01/12
マリモ
15
読みやすいがそこまで内容は多くない気がする。しかし、それでもやはり良い言葉が多い。名言集といってもいいかもしれない。2020/09/11
なかしー
15
分かりやすい語録集?? 荀子をしっかり学びたい人にもあまりオススメ出来ない。 入門書としても物足りなさを感じたので他の本を探そうと思います。 内容は著者が意見を荀子の言葉に乗っけている感じで内容も薄く、斜め読みした。 言い方は辛辣だが「虎の威を借る狐」のような本2018/09/09
かいてぃ〜
14
何かのスピーチや座右の銘にするという目的のものでは無いので、書き下し文は飛ばして再読。「駿馬は一日に千里も走ることができる。しかし、駑馬(どば)でも十日かければ同じ距離を進むことができる。」というのは、やはり積み重ねが大事。新しいことを始めても中々出来ている感覚が掴めないといったことがある。そんな時に思い出したい言葉です。駑馬でも結果は出せる!2020/04/12