内容説明
コピーライターの野田は、恋多き大女優・百合子の愛情が失われつつあるのを感じた日から奇妙な言語障害におちいっていく。「いわずもがな」に「これみよがし」、「キモイ」から「ぱねえ」まで、愛の反乱が生む日本語の氾濫――。著者真骨頂、誰でも一度は疑問を持った覚えがある現代ニッポンの言葉をめぐる爆笑長編小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちさと
23
代表作「蕎麦ときしめん」に出会って以降のファンです。珍しく恋愛物語を絡めた長編小説の形式になっていますが、著者の言葉への愛情と執着は溢れんばかりに伝わってきます。アレコレあって主人公は心が病んでしまい、言葉が壊れるという症状を発症する。言葉はどこにあるのか、というのが命題なんですけど、主人公が著者の想いを代弁しているという仕掛けになっています。言葉が心を揺さぶり、心が脳を刺激する。言葉はたんなる記号だと分かっていても、心が壊れると脳が壊れてしまうこともあるんですよね。2021/03/14
katsubek
18
心はどこにあるのかという問題は、なかなか面白い。途中までは、清水さんのエッセイを読んでいるような感じ。でも、あるところから後は、「どこに行くの?」と聞きたくなるような展開になった。2015/11/19
RED FOX
16
駄洒落が止まらない病気が本当にあると知る(^^)脳と心と言葉にまつわるなんとも哀しい小説。勉強になるなあ。2018/11/10
Kaz
16
用語委員会の日本語についての討論の場面が心に残りました。私も職業柄、言葉の細部を吟味することが多いのですが、指摘するのは意外と簡単で面白いのです。ただ、自分の言語をチェックされると、ボロボロだったりします。主人公の「言葉は時代とともに変化する」という趣旨の提言は、非常に考えさせられました。2016/03/31
RED FOX
13
「若者言葉への批判者に万葉言葉でのツッコミ」「中国人名の日本読みと韓国人名の現地読み」・・・放送用語委員会での言葉に対する各委員のやりとりにニヤける。やっぱり清水ヨチノリは言葉の奇才だのう。2016/07/22