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内容説明
若い修行僧はなぜ火を放ったのか。「金閣寺焼失事件」に心を奪われ、共に事件を題材に作品を書いた三島由紀夫と水上勉。生い立ちから気質まで、すべてが対照的な二人を比較すると、金閣寺の蠱惑的な佇まいに魅入られずにいられない日本人特有の感覚まで見えてくる。著者ならではの分析眼が生きた文芸エッセイ。
目次
はじめに
金閣寺
母と故郷
寺と戦争
美と女
生と死
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
423
ふざけたタイトルと、酒井さん(軽めのエッセイが得意という印象)という作家名から、ここまで深い内容は想定していなかった。実に読み応えのある文学論。それでいながら酒井さん独特のキラリと光る「比喩」がそこここに効いていて、読みやすい内容になっている。読了後、またまた読みたい(ほとんどが再読であるが)作品が激増する、という困った一冊でもある。 2018/11/29
翔亀
51
酒井さんは「負け犬の遠吠え」など新鮮な切り口で勝負する人で、勿論作家論を期待していた訳ではないが、徹底した取材と言い含めるような丁寧な口調は、三島を一歩身近な存在にしてくれる。水上勉「五番町夕霧楼」が金閣寺放火事件を題材にしていることから、両作家を比較する。全てに於いて対極的な二人。表日本-裏日本/上から-下から/乾-湿/死-生への希求/観念主導-対象への一体化などと図式化しつつ、三島ファンを自認する著者がいつの間にか水上の判り易さに親近感を抱きながらも最後に、<隠す人>三島を浮かび上がらせスリリングだ。2014/11/17
harass
47
図書館本。題名が気になったので手に取る。初酒井。金閣寺事件を題材に三島と水上勉がそれぞれ小説を書いている、「金閣寺」「金閣炎上」の違いと実際の事件との差や、二人の作家の生い立ちを比較している。実に対照的だ。水上勉は放火犯林に事件以前に出逢ったことがあり貧しい境遇も似通っていて、三島とはアプローチが全く違う。水上勉作品はいつか手にとってみたい。軽くて読みやすいが自分には物足りなかった。文芸評論というより、エッセイだと思えば納得はするのだが。他の人のレビュに『読書感想文』という言葉がある。そうかもしれない。2016/04/13
KEI
42
三島の「金閣寺」水上の「5番町夕霧楼」「金閣炎上」を比較したエッセイ。今では使うのは相応しくない言葉だが、裏日本に生まれた水上は、金閣に放火した犯人と似た様な生活環境で育ち同じ視線で犯人・養賢を見ているのに対し、三島は養賢の気持ちより金閣の「美」に焦点を当ててとらえている。その他2人の死生観、女性観にも触れ、とても興味深く読めた。3冊を間を開けて読んでしまったが、続けて読むとより理解しやすいと思った。 2021/02/19
ふ~@豆板醤
42
3。先日の未読会の参考図書として。三島さんだけでなく水上勉さんも同じ事件をもとに小説を書いていたとは..読まなきゃ!この本では、三島・水上の表現の違いや事件の切り取り方を対比して紹介している。三島しか読んでないから何とも..(^^;)金閣に火をつけた実在の犯人・林養賢を単なる異常者と見なさず物語を組み立てた作家が二人ほぼ同時代にいたという不思議。三島は「美への嫉妬」、水上は「林は自分だ」というテーマでそれぞれ描いていたらしい。そういう予備知識もつけて金閣寺再読したくなってしまう(笑)2017/03/14
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