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内容説明
「元々は、地質学者になりたかったのです――」。鉱石採集が大好きだった少年は、「核の平和利用」のキャンペーンに呑み込まれ、原子力開発の夢を追うようになった。だが、いち早くその詐術と危険性に気づき、その後、原発をなくすための研究と運動に半生を捧げてきた工学者・小出裕章は、3・11から3年が経過しようとしている今、何を思うのか。そして、過去からの膨大な負債に苦しむであろう100年後の人々に「こんな事故を起こした時代に、お前はどう生きたのか」と問われる場面を想像しながら述べた言葉とは?【目次】はじめに 「いま・ここ」を生きる人々へ/第一章 事故後の三年間を考える/第二章 人間の時間、放射能の時間/第三章 科学は役に立たなくてもいい/第四章 優しさは、沈黙の領域へのまなざしに宿る/おわりに ほかの誰でもない命/参考資料
目次
はじめに 「いま・ここ」を生きる人々へ
第一章 事故後の三年間を考える
第二章 人間の時間、放射能の時間
第三章 科学は役に立たなくてもいい
第四章 優しさは、沈黙の領域へのまなざしに宿る
おわりに ほかの誰でもない命
参考資料
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
71
5年前の震災時福島で起きた原発事故。あれは想定外だといいながらも今またその想定外に対処出来るのか明確な対策のないまま稼働を始めた原発。専門家の著者が様々な視点で原発の危険性とこれからもそれを背負うことになる子孫にメッセージを送る。あの時安全、危険性は少ないと唱えた電力会社や政府のスタンスは相変わらずなにも変わらないままだ。本書に書かれていた「被爆よりパニックを恐れる国」は正しい情報を伏せたままの政府を痛烈に表した言葉だと感じた。2016/12/04
壱萬弐仟縁
38
放射能ゆえに、人類が存続しているのかどうかさえわからない時空に向かって、何を話せばいいのでしょうか(14頁)、と問題提起される。人類70億人以上いるが、今後は未知数。日本の国家は倒産するほど、イチエフで起きた事故が大きい規模(30頁)。封じ込めしかないが、漏れ続けている現実。茫然自失。本来なら五輪に傾注より、事故収束、被害者救済に全力を尽くすべき(32頁)。被害者のうち、自主避難への補償打ち切りが懸念される。権力はより強い権力から処罰されない限り、いっさい安全(34頁)。2015/09/07
Gatsby
25
これも、他にこういうことを言う人がほとんどいないから読んでいる本である。助教という身分はともかく、こういう人を何とか雇い続けている京大を評価すべきなのかどうか複雑であるが、まあそれなりの立場にいるから発信できるわけで、私のところにその声が届くのである。小出氏は、徹底的な個人主義の人で、死んだらおしまい、自分の骨はどぶにでも捨ててくれという、うちの親父と同じくらいの変人ぶりである。しかしながら、100年後の人々に思いを寄せ、誰に対する遠慮もなしに書かれたこの本。私のような変人でなくても、惹かれる内容である。2014/02/24
RED FOX
16
真摯である、勇気がある。彼を奮い立たせるのは何か。彼の尊敬する先人達についても知りたくなった。少なくとも廃炉と炉心の処理だけは、まだ誰も答えを持ってないことは確かでしょう。10万年後まで仕事を引き継ぐ・・・じゃあ10万年前の人類?から引き継がれたことがあったとしても誰か聞いてますか・・・?彼は超がつく理系学者ですが、言葉は物凄く平易に噛み砕いてくれて、そこだけでもただものではない。2014/04/22
ぽんくまそ
13
小出さん、疲れているな、と思いました。そのような小出さんが、自分のことをいったん、整理してみようと綴った本ですね。ぼくらが、がんばらないと。2014/09/20