講談社学術文庫<br> 天狗芸術論・猫の妙術 全訳注

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講談社学術文庫
天狗芸術論・猫の妙術 全訳注

  • ISBN:9784062922180

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内容説明

江戸時代の談義本2作を、読み易い訳文とともに文庫化。いずれも、宮本武蔵『五輪書』とならぶ「剣術の秘伝書」であり「人生の書」でもある。「天狗芸術論」は、剣術者が深山で天狗に出会い、老荘や孔子・孟子、仏教思想をまじえて「芸術」すなわち「武芸」と「心術」の核心に触れる。「猫の妙術」では、どんな猫も敵わなかった大鼠を、一見のろまな古猫が簡単にやっつけてしまう。若い猫たちと家主の剣術家は、古猫に教えを乞う。(講談社学術文庫)

目次

天狗芸術論
猫の妙術

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

姉勤

42
天狗と猫。武士社会も今と同様ツッコミとヤッカミの息苦しい世間らしく、剣術の指南や武士道を説く様な書物には、箔や権威が必要だったようで、それを避けるため偶然天狗に教わったやら、猫の寓話に託するやら。 身体と言うハードウエアを鍛錬して体内外の「気」を制御し、「心」というOSと剣術というアプリケーションををスムーズに実行させる。そのソフトとハードを互いにフィードバックさせながら、障りの無い境地に達する。達人だけではなく、万人がそれぞれのレベルで励めば、それぞれの自由自在を得られる。養生訓にして人生訓でもある。2015/04/22

江口 浩平@教育委員会

26
【古典】逆のものさし講にて清水店長に薦められ手に取った一冊。店長曰く、「江戸時代も100年を過ぎた頃の、平和ボケした武士達に武道とは何かを指南した一冊であり、現代社会における若者に学問を説くところと似ている」という。答えを求めたがり、簡単に、楽に学びたいと思う者に対して自ら考えることの大切さを気付かせるのがどれほど難しいことなのか、本書を読んで考えさせられた。こだわりを持ち、居着いてしまうと人は弱くなる。考えすぎず、柔軟に、頭を働かせると同時に動ける人でありたい。すぐさま再読予定の一冊。2019/03/26

ヨコツ

23
剣術武術のみならず、まさに生きるすべそのものについての洞察を書いた談義本。ちなみに「談義本」なんて偉そうに使ってみたけれどそんな本の存在を知ったのは本書が初めてである。技という形も融けてなくなり我も敵もなく、意も識もない状態、昨今スポーツ界で取沙汰される様になったゾーンの状態について結構な紙幅を割かれている指南書なのだが、仕事においても日々の暮らしにおいても奥義となるべき核心に迫った内容になっている。しかしどうしてもその感覚は文章に出来る類のものではないので、ある程度運動に携わった人向けの本ではある。2016/06/30

壱萬参仟縁

20
1729年初出。原文→訳文→注の循環。参考文献→あとがき→解説が巻末に。体の本来の性質にしたがい、技を尽くし、強制なく、筋骨を鍛え、手足を習熟させ、変化に対応(14頁)。志が正しくなく、行いが正当でなければ、君主に仕えて忠義はなく、父母に仕えて孝行はなく、親戚朋友と付き合っても信用がない(24頁)。若いうちから苦労することを嫌い、小さな利益を素早く手に入れようとする。修行する者はいなくなってしまうだろう(33頁)。現代には読書Mがあるのは不幸中の幸い。学問は自得するものでなければ役に立たない(52頁)。 2014/12/21

ykshzk(虎猫図案房)

14
武道と無縁でも、読んでいて腹が座る感じを得た。とにかく「気」が大切なのだと素人は理解した。技を生むのも、心を安定させるのも「気」であると。また、心体と技術の両方の大切さ。例えば、いくら悟りを開いたといえ、技術・実務に習熟していない禅僧に政治や軍の統率は出来ないように。武道に明るくない私は「猫の妙術」のほうがより飲み込みやすかった。老猫曰く「心の中に我があるから敵がある。両者を忘れ、静かに何もない状態に全ては和して一つ。敵を破ったことにも気づかない、ただ感じるままに動く」と鼠がうまく取れるのだそうだ。 2019/12/24

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