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内容説明
生きることは悩むことだ。悩みから逃げず、きちんと悩める人にだけ濃密な人生はやってくる。ただし、やみくもに悩めばいいわけではない。心が弱っている人は、自分の内面を見つめず現実をしのぐ工夫から始める。心がある程度頑丈ならば、自己を掘り下げ、悩みの正体を受け止める。苦悩する人々に寄り添い続ける心理カウンセラーが、フランクル、フォーカシング、森田療法、ミンデルらの手法をもとに濃く深く生きるための正しい悩み方を伝授する。
目次
第1章 悩みが人生において不可欠な意味を持ちはじめる時
第2章 「悩み」は「人生からの問い」である―フランクル心理学の核心
第3章 人生の「むなしさ」と向き合う―生きる意味の問い
第4章 「生きる意味」を探す「座標軸」―創造価値、体験価値、態度価値
第5章 「悩みぬく」ことの意味―フランクルの「苦悩の存在論」
第6章 悩んで、悩んで、悩みぬいた私の体験
第7章 「悩んではいけない時」のための悩まない知恵と工夫―脱内省、脱同一化
第8章 深く悩み、深く自分を見つめるための知恵―フォーカシングと傾聴
第9章 さらに深く、悩みぬくための知恵―プロセスワーク
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黒頭巾ちゃん
35
フランクルを引用して「悩むことは成長への糧」と能力扱いしてくれます。ただ、悩む質も“自分ではなくて相手”つまり、「自分がこうしたい」ではなくて、「相手のために」「社会のために」という悩みです。悩みがない人は「気晴らしを過ごす日々」としています。「自分が絶望しても人生はあなたに絶望はしていない」というロゴセラピーからフェルトセンスを用いる“プロセスワーク”を紹介。ワークもついています。個人的には“森田療法”が好きかも?“とにかく行動してみよう”小さなことでもいいのでと励ましてくれるからです(^o^)v2014/02/11
chie
16
前半は主にフランクルの思想について、後半は著者自身の体験と、フォーカシング、プロセスワークについて掘り下げられている。プロセスワークに至っては「悩み」は「より深め、熟成させていく」ものととらえられている。「悩むことに、こうした「遊びの要素」を取り入れると、「プレイフル」な雰囲気が出てきてリラックスできます。」(p.236)ともある。そして、プロセスワークを提唱しているミンデルは、「ニューヨークで9・11のテロ事件があった時に、世界中にメッセージを送りました。「あなたの中にいるテロリストに目を向けよ」と。」2016/02/06
ceskepivo
9
フランクルの思想が人生を変えるだけの力を持っているのは、人生を捉える「立脚点の変更」や「倒置」「転換」という思想があるから。「あなたがどんなに人生に絶望しても、人生があなたに絶望することはない。人生があなたに期待しなくなることは決してない。」2015/10/11
nizimasu
9
諸富先生はおそらく、トランスパーソナルとかにも通じているんだと思うんだけど、フランクル心理学の行き着く先は、どこか神的な存在だったりして、一番最後の3分の1はさすがにちょっと読みづらかったです。ただ、フランクル心理学のトコトン悩み抜く、人生から生きる意味を問われるというのは、ある種の宗教体験として、悟りであるとかそういう言葉で流布しているものに近いのかもしれません。個人的にはハイデガーの「世の中時間」と「自分時間」という区分けがしっくりして、もっと自分時間を内省的に過ごせるとまたよしと思いました2014/03/27
estarriol
8
沁みました。悩みはないほうがいいという概念を覆し、悩みがあるからこそ人は成長できる、と説く。たしかにこれまでの自分の経験からもそれは納得。悩みは表面的に浅く処理するのではなく、深く自分の心の内を探索し、今必要なこの悩みに向かい合うことで、真の自己成長を促す。また、悩みに深く向き合うために、ミンデルのプロセスマインドと呼ばれる深層部分にまで入り込むことを勧める。その方法の一つとして、場所と一体化するワークがあり、悩みに対する立脚点の変換がはかられ、これもいい感じでした★★★★2020/06/26