内容説明
天正十年(一五八二)六月、本能寺の変勃発! 天下にあと一歩まで迫っていた織田信長死す! これはピンチか、はたまたチャンスか!? この驚天動地の事態に、息子・織田信孝は誰につこうか右往左往し(「最後の忠臣」)、家臣・滝川一益はかつて褒美として関東の領地より茶道具を選んでおかなかった決断を後悔し(「関東か小なすびか」)、敵将・安国寺恵瓊は秀吉と和睦を結んだ後で真相を知って歯ぎしりし(「南の山に雲が起これば」)、側室・おなべは誰も安土城を守ろうとする者がいない中、懸命に声を張り上げた(「信長を送る」)。 思わぬ事態に接した時ほど、人間の本性は出てしまうもの。あなたに似た人物もどこかに出てくるかも。信長の死によって運命を変えられ、大きな岐路を前にとまどう男たち、女たちを温かく(?)描いた、共感たっぷりの連作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナイスネイチャ
171
図書館本。本能寺の変によって戸惑う人々を綴った短編集。と、著者による本能寺の変の黒幕を考察するのが一編。これが一番面白かったかな?もっと沢山の人間がとまどったんだろうから続編あってもいいかも。2015/09/02
藤枝梅安
68
8つの短編からなる1冊。本能寺の変で、運命が変わった信長の子たち、家臣、敵などの逡巡と決意をユーモラスに描く。「本能寺の変に黒幕はいたか」では、本能寺の変に関する様々な説に対する筆者の見解が述べられており、興味深く読んだ。最後の、妻・おなべの怒りが最も印象に残った。関ヶ原に関する本を読んだばかりだったのだが、家康に対する三成の不満・抗議はもっともかもしれないが、信長の死後の秀吉の言動を考えると、家康ばかりが悪いとも言えないと感じる。2014/08/22
Mumiu
36
本能寺の変に関わった?!人たちのよもやま話。ごめんなさい、伊東潤でも信長サマ、村上海賊でも信長サマで、そろそろおなかいっぱいになりつつあり、なかなかペースが上がりませんでした。閑話休題的に「本能寺の変に黒幕は…」という章があり、光秀の年齢って?!そして稲葉じいちゃん(昔大河の「春日局」でも見ましたねえ)たちのお話、う~ん、ここまでくると「とまどい本能寺の変」より「うっかり本能寺の変」になっちゃう♪2014/03/19
onasu
30
岩井先生、本能寺の変を語る。て、短編集の中に一編、エッセイと言うか考察があるだけなんだけど、これが結構おもしろい。 小説の方は、そりゃ、こんな政変がありゃあ、無事では済まないわな、て人たちの短編7編。安国寺恵瓊に、織田信孝、堀秀政…、最後は側室おなべ。有名どころから、埋もれた人まで。末がよろしいのは、恵瓊のみか。滝川一益も伊勢に帰れたまではよかったか。 改めて、織田家の命運は、あっけない。それを継ぐ秀吉、岩井さんの好みでないのか。そこいら辺も、おもしろい。あっという間に読み終えてしまいました。2014/03/07
ポチ
27
本能寺の変の後のバタバタを、何人かにスポットを当てた本。それと光秀は実は痴呆症!?なかなか面白い。2016/02/15