内容説明
共にキリスト教徒の二人が、聖書をベースに宗教・哲学・社会問題を縦横無尽に語りつくす異色の対談集。
第一章では、カルヴァン派の佐藤氏とバプテスト派の中村氏が、同じプロテスタントでありながら宗派によって異なる、他力本願と自力本願、終末論など神学的な問題を語りあう。第二章では村上春樹の『1Q84』、サリンジャー、『新世紀エヴァンゲリオン』など文学やサブカルに見られるキリスト教の影響を読み解く。第三章は、3・11を契機に激変した日本社会を伝統宗教は救えるのかがテーマ。不安定な世の中にはスピリチュアル的なものがはびこるが、本当の意味で自分と他者をつなぐことのできるものは何なのか? ライプニッツのモナド論など引用しながら考察する。
目次
第1章 「聖書」を語る(文学部と神学部の異種格闘技 終末遅延問題 ほか)
第2章 「春樹とサリンジャー」を読む(聖書から謎の福音書「Q」へ 第二の月はチワワ!? ほか)
第3章‐1 「地震と原発」を読む―チェルノブイリ、そして福島(あの日、揺れて感じたこと チェルノブイリの既視感 ほか)
第3章‐2 「地震と原発」を読む―日本人を繋ぐものは?(日本人を繋ぐ「宗教的なるもの」 グレートマザーが日本を救う ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
121
既に2周くらいしていて感想も書いていたのですが、あろうことか誤って消してしまったようです(泣)。ナイスやコメントをいただきました皆様、大変申し訳ありません。今回が3周目のはずですが、いつまでも読んでいたい、そんな本です。だいたいですよ、村上春樹とサリンジャーの話がエバンゲリオンと結び付くんですから、こんなの初めてですよ。文春文庫さん、これはかなり面白いので200ページ前半なんぞケチクサイこと言わんと700ページくらいにして下さいよ。2021/01/17
ホッパー
47
対談本。とても面白いので一気読みしてしまった。タイプは違う2人のようでいて、とても相性が良いように見える。2021/01/23
harass
42
牧師でもある佐藤優と、熱心なキリスト教徒の家で育った作家中村うさぎの対談集。表題の聖書について中心に語っているのは一回だけだった。ちょっと拍子抜けしたがほかのもなかなか面白い。聖書、村上春樹作品、原発と地震など。一回目で二人のキリスト教流派の違いからくる考え方食い違いが非常に興味深かった。カルヴァン派佐藤とパブテスト派中村。佐藤の他の本でたまに感じる彼の傲慢さについての理由が分かった(カルヴァン派は、信者が神に救われるかどうかはすでに決定されていて、どんな行いをしてもそれは覆されないのだと)2015/09/02
gtn
41
太ったおばさんがキリストだというゾーイーの言葉は、誰もが仏の生命を持つという仏教と親和性が高い。2017/10/14
金吾
39
○二人とも好きな作家であり、その二人が自由に言い合っており楽しい一冊でした。終末遅延問題を便秘で比喩したところは思わず声が出ましたし、マリアの処女性や自己犠牲と伝染はなるほどと思いました。2020/12/28