内容説明
「イッキ飲み」や「朝寝坊」「ツボ」「お喋り」に対する宇宙レベルのアプローチから、「生命形態学」の原点である論考、そして感動の講演「胎児の世界と“いのちの波”」まで、『内臓とこころ』の著者が残したエッセイ、論文、講演をあますところなく収録。われわれ人間はどこから生まれ、どこへゆくのか―「三木生命学」のエッセンスにして最後の書。
目次
1 生命とはなにか―生命論(だれが人間を創ったのだろう―受胎後三十二日目、胎児は変身をはじめる。魚類から両生類、そして爬虫類へと… 生について―看護本来のすがた ほか)
2 からだと健康―保健論(生活を左右する「体内時計」その1―動物も人間も「潮」と「光」の懐中時計をもっている 「ツボ」の比較解剖学的考察―東西医学の源流について ほか)
3 先人に学ぶ―人間論(生活を左右する「体内時計」その2―中生代の生命記憶が人間にも冬眠を要求している ゲーテと私の解剖学 ほか)
4 生命形態学への道―形態論(左脳診断から右脳診断へ―病者の顔を一瞬で鑑別するのは左目。心音の微妙な差を聞きとるのは左耳。 脾臓の過去 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
75
三木茂夫さんの小文や講演をまとめた最後の書。これまで読んだ本とも重なるところも多いが、何度も繰り返される三木さんの生命への想い。何十億年という時の流れと、宇宙のリズムが人間の身体の中に生きているという不思議。呼吸のリズムが取れなくなった時に、身体は不調をきたす。息は吐くことによってリズムが生まれる。息を潜めることの多い現在、何らかの方法で吐き出すことをする必要があるようだ。最近、何冊にも渡り読んだ三木茂夫さんの著作だが、やはり惹かれてしまう。2021/06/26
たまきら
19
ふふふ、ここまで主観、詩的な「医学」の書は久しぶり。生死のロマンティックさ、エロティックさ。どんなに固定化しようとしても不可能な未知の部分。その謎を、暗闇の中を目を細めるかのように観察し、説明しているこの人の頭の中こそ迷宮なんだろうなあ。美術と科学の迎合を寿ぐ良書だが、難解。謎に満ちたことばの行間を読み解きたい。2017/03/20
yutaro sata
16
身体というものの無限の面白み。
すしな
16
153−21.人間の体には生命5億年の記憶がつまっていて、妊娠から出産までの間にその追体験を行なっているという説は興味深かかったです。人間も3億年は海のなかで暮らしてきたので、潮汐のリズムに影響されている部分も大きいとのこと。ただ、現代社会では太陽暦で活用しているので、放っておくと生活のリズムが狂っていく人も多いのだとか。鬱とか不眠症とかストレスとかもあるのでしょうけど、根本的にそういうリズムが狂っているのでしょうね。2021/12/27
いとう・しんご
9
読友さん切っ掛けで図書館に予約を入れてやっと順番が回ってきました。著者は解剖学者で、その見地から生命の歴史を追究しつつ、さまざまな体調不良にも助言してくれるという本。気軽に読める、でも、色々と気づきが与えられるというお得な一冊。まだ、二人並んでいる人がいるから、さっさと返しに行ってきます。2022/09/18




