内容説明
日本最古の物語にして成立年、作者ともに不詳という謎につつまれた古典の名作を、人気古典エッセイスト大塚ひかりが全訳。いきいきと躍動する現代語が作品の魅力を現在に呼び覚ます。かぐや姫はなぜ結婚を嫌がったのか? かぐや姫の犯した罪とは? 作者は誰なのか? 作品にまつわる数々の謎に迫る解説も必見。古典世界をさらに楽しむための珠玉のエッセイを厳選収録。
目次
第1部 『竹取物語』全訳・解説(竹取の翁とかぐや姫 かぐや姫に群がる男たち 五人の貴公子たち かぐや姫の難題 一人目・石作の皇子と仏の御石の鉢 ほか)
第2部 古典世界へのいざない(昔話の源流 平安恋もよう もう一度、古典)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tomi
32
「竹取物語」の全訳+解説。物語の背景を丁寧に読み解いた解説(ひかりナビ)がとても解りやすい。中国の思想や伝説などの影響を受けていて、チベットにも似た説話があるとか。物語の成立や作者の謎ときも興味深い。後半に昔話や古典文学に関するエッセイも収録。シリーズ化して今昔物語や宇治拾遺物語のひかりナビも出してほしい。2015/07/05
美登利
30
大塚さんの古典の紐ときは面白く、古めかしい物語が、まるで今も通じるような物語へ変化し、いきいきとします。現在かぐや姫の映画が上映中ですが、この本の中にも姫の犯した罪という一節がでてきて、もしかしたら同じなのかな?と思いました。他にも古典文学についてのエッセイも少しでてきて解釈が面白いです。外国の童話でも同じように古典もある意味、ただの物語ではなく残酷さ卑猥さもたくさん含まれているようです。それが今日まですたれない原因のひとつなのかもしれません。2013/12/25
瀧ながれ
13
「かぐや姫」になっちゃうと、どんどん簡単になってしまうけど、原文(といっても、写ししか残ってないわけですが)を丁寧に読み解くと、比喩や駄洒落の多い複雑な物語だとわかってとてもおもしろい。かぐや姫って、デレのないツンデレですな。後半の古典エッセイも、ひとつひとつは短いけど読み応えあり。『源氏物語』を、注目すべきところを注目して、きちんと読みたくなります。2014/06/16
りんりん
5
古典入門編。そうそう、「竹取物語」はこういう物語だったと思いつつ、読了。「かぐや姫の物語」ももう少し原典に忠実に描いて欲しかったなあ。2013/12/23
あいくん
4
☆☆☆竹取物語のストーリーには親しんでいますが、丁寧に読んだことはあまりありません。竹から生まれたかぐや姫が五人の貴公子からの求婚に対して難題を吹きかけ、貴公子たちが失敗します。 帝の求婚にもかぐや姫は応じません。 天人たちを迎えうつ帝の軍勢は不思議な力のために戦意をなくします。 かぐや姫は天に帰っていきます。 竹取物語は源氏物語の百年前の作品です。 最初の物語とされています。 平安時代には儒教思想が普及していないので、主従関係も絶対的なものでありません。2016/07/06