集英社学芸単行本<br> 誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち

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集英社学芸単行本
誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち

  • 著者名:黒川祥子【著】
  • 価格 ¥1,408(本体¥1,280)
  • 集英社(2014/08発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087815412

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内容説明

心の傷と闘う子どもたちの現実と、再生への希望。“お化けの声”が聞こえてくる美由。「カーテンのお部屋」に何時間も引きこもる雅人。家族を知らず、周囲はすべて敵だった拓海。どんなに傷ついても、実母のもとに帰りたいと願う明日香。「子どもを殺してしまうかもしれない」と虐待の連鎖に苦しむ沙織。そして、彼らに寄り添い、再生へと導く医師や里親たち。家族とは何か!? 生きるとは何か!? 人間の可能性を見つめた感動の記録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

s-kozy

194
【文庫版も出ましたね】有さん、610さん、chimakoさんの感想に触発されて手に取る。第11回開高健ノンフィクション賞受賞作品。保護された被虐待児のその後の生活と人生を追った衝撃のルポルタージュ。「この日本を少しでもよくしたい」と考えている人は読むべき、知るべき内容が描かれている間違いのない良書。虐待問題は保護されたことで解決するのではない、被虐待児が社会性を取り戻す戦いはそこから始まるのだから。この戦いには専門性の高い薬物・心理・生活療法が必要。そこまで日本の医療と福祉の体制は整っているのか?(続く)2014/08/20

風眠

150
読みやすい文章、だからこそ、まっすぐに入ってくる。被虐待児のその後、そう「その後」があったのだった。虐待から逃れても、その後の現実や感情、やり場のない怒り、それでもどこかで期待してしまう心、そういうその後があるという当たり前のことに改めて気づかされた。これでもう大丈夫、安心してね、そんな生易しいものじゃない。生きるか死ぬかの状況下で生きてきた子どもは、虐待の後遺症や学習の遅れ、自分の存在意味に苦しむ。母の愛は無償なんて嘘、子どもの愛が無償なんだという言葉が私の心にドスンと置かれた。ニュースが語らない現実。2014/09/14

あじ

102
親に問題があって保護される子供が近年後を絶たない。親からの一時保護は広範囲に渡る。ネグレストに限らず犯罪、薬…それらに手を染める親が非常に多い。理由も多岐に渡る。貧困や障がいであったり、虐待された過去を持っていたり。根本的な解決が難しい事例が由縁となって眠っている。親も子供も他人に頼る術を知らない為に、最悪通報によって発覚する場合がほとんどのようだ。保護された子供と接すると圧倒されるのが、親の絶対的な存在だ。これが血の繋がりというものなのか。子が親を想う。涙に濡れる純粋な瞳を覗くと、抱き締めても足りない。2014/09/21

94
虐待死する事件をニュースで見て、なんでそんなことを、と思う。そう思うことは間違っていない。でもそう思う前に、知らなければいけないことがあった。虐待され、保護されて、社会的養育の中で生きる子供たちの現状。施設や里親に行けば終わりじゃない。虐待を、子供目線で見られる人は圧倒的に少ない。壊れた心は、愛情を受け止められる受け皿すらない。親が、社会が、子供たちをそんな風にしてしまった。「無償の愛は、親から子にあるものではなく、子から親にあるもの」流すことが出来なかった子供たちの涙は、人知れず宙をさ迷っている。2014/03/15

ケイ

93
本当に虐待されている子供たちは、フリーズして感情を殺しているだけではない。抑え込んだ感情が激しい勢いで放出すると、凄まじいエネルギーが発生する。それに一緒に対処していこうとする自動相談所や里親の人達の献身さは想像を絶するものがある。最終章で描かれた、自らも虐待を受け、今は子供に、特に長女に虐待してしまう母親の話が一番辛かった。虐待してしまう側にも同情を覚えると同時になぜ同じことを繰り返すのかと腹立たしい気持ちとともに読んだ。ここで描かれている事を子供に常日頃繰り返す親はなぜ殺人犯なみに裁かれないのか。2014/08/15

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