内容説明
宇野常寛プロデュース、期待の大型新人初の著書! 『ジェスチャー』『コント55号のなんでそうなるの?』『8時だョ! 全員集合』『オールナイトフジ』『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』『ねるとん紅鯨団』『ダウンタウンのごっつええ感じ』『水曜どうでしょう』『シルシルミシル』などテレビ黎明期から現在までのバラエティ番組の変容を追いながら、芸人とアイドルばかりがテレビに出演するという独自の発展を遂げた戦後日本のテレビ文化を読み解く。
目次
第1章 日本で初めてブラウン管にリアクション芸人が登場した時代―一九五〇年代
第2章 日本のテレビ黄金時代―一九六〇年代
第3章 双方向性の復権―一九七〇年代
第4章 テレビはミニコミ化する―一九八〇年代
第5章 閉じこもるバラエティ―一九九〇年代
第6章 インターネット時代のテレビバラエティ―ゼロ年代以降
補論
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
27
日本では、なぜ芸人とアイドルばかりテレビに出るのか?アメリカのテレビが作り込んだ映画的コンテンツ主流なのに対し、日本では事業者と視聴者が双方向に作用し合う魅力が重視された。さらにコンテンツ自体よりも視聴者(事業者も)が発する派生的な情報を主に楽しむ「情報環境」へと進化した。だから指向性の無い芸人やアイドルが起用される。本書は、視聴者の個別化サブカル化が早く進行した日本で、テレビに起こった事態を解明した労作である。この流れに関わったタレントや番組の分析が深く、面白く読めて腑に落ちた。末尾の補論も見逃せない。2017/06/04
サイバーパンツ
13
アメリカの模倣で始まった黄金時代の脚本中心主義から、それを解体しコミュニケーションのための記号(キャラクター)を発信し続ける「情報環境」まで整備した萩本欽一、笑いの細分化に伴い高密度なコミュニケーション空間を提供したとんねるずやビートたけしを始めとしたビッグ3、笑いの文法を視聴者に啓蒙したダウンタウン、情報環境的な笑いと作品的な笑いの融合とその終焉、ネットや配信事業にすり替わっていくゼロ年代と、テレビと視聴者を取り結ぶ双方向性(テレビリアリティ)に着目して日本のテレビ史を整理した良書。2018/06/16
さのかずや
3
平易な文体で書いてあるし、出てくる例も有名な話ばかりで、めっちゃ面白かったけど、マジで難しい。たぶん半分も理解できていない。戦後からいままでの「日本のテレビの歴史」が詰まっている。前半は日本のテレビ黎明期とアメリカの関係の話、後半は日本のテレビのメインストリームであるお笑い芸人の話に終始しているのはご愛嬌。60年代のコント55号、70年代の萩本欽一、80年代のビッグ3、90年代のダウンタウン、ネットとすり替わっていくゼロ年代、過去に対するカウンターの歴史が脈々と見て取れた。これは再読の必要あり。。。2015/06/28
田中峰和
1
浅間山荘事件は同時間帯合計80%の視聴率をとった。そのとき萩本欣一は次の瞬間、何が起こるかわからないハプニング性に着目した。彼の番組作りは、素人もしくはそれに近い素材をテレビに登場させ、台本のないリアクションで人気を博した。だが、それは後味の悪い笑いでしかなかった。斎藤清六なる素人タレントが、与えられた台詞さえ満足に話せず、右往左往する姿は嫌なものだった。それはクラスの人気者がカーストの下層を苛める場面と類似する。あの笑いの名残が、青少年自殺が頻発するいまに繋がる気がしてならない。だから萩本は嫌いだ。2016/11/18
11032nori
1
テレビ黎明期から現代までを、「双方向性」を切り口に論じたもの。今やインターネットにお株は奪われているようだけど、テレビって意外と双方向性に拘り、振り回されてきた媒体なんだなぁと気づかされた。特にダウンタウンと視聴者との闘いの歴史は興味深かった。2014/01/04