内容説明
弁護士・御子柴礼司は、ある晩、記者の死体を遺棄した。死体を調べた警察は、御子柴に辿りつき事情を聴く。だが、彼には死亡推定時刻は法廷にいたという「鉄壁のアリバイ」があった――。
目次
第一章 罪の鮮度
第二章 罰の跫音
第三章 贖いの資格
第四章 裁かれる者
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょこまーぶる
505
途中からグイグイ引き込まれた一冊でした。最初は岬先生が登場して推理と音楽を題材のシリーズとは違い、少し違和感を持ちながら読み進めたら、主人公の少年院時代のピアノ少女の弾く音色にその後の人生を左右されるという辺りから、いつものように、ワクワクしながら次の展開を楽しみながら読むことができて大満足でした。そして、主人公である弁護士が裁判の内容を逆転に持ち込み、新たな真犯人との対峙や共犯関係を暴くくだりは、映像にしても面白いしだろうなと思いましたね。やっぱり中山七里さんの音楽をモチーフとした展開は秀逸ですね。2014/10/18
ソルティ
378
ドラマ見てるので読んでみたら原作もおもしろい。弁護士が過去に重大犯罪をしている、って設定からか、盛り込み要素が多くて、最初は何が主題なのかと思ったが話の展開がいいのでどんどん読めて、あとがきにて「罰せられない罪を背負った者」という主題が分かり、納得。主人公御子柴の犯罪後に出会う人物はいい影響を与えてくれて良かったが、この裁判に関わる人物達がひどい。でも全く共感できなくもない。「「自分以外の弱い者のために闘え。奈落から手を伸ばしている者を救い上げろ。それを繰り返して、やっとお前は罪を償ったことになるんだ」」2019/12/28
Yunemo
374
ダークヒーローを主人公としての作品かと思われた前半、なんだか展開が違ってきたぞ、と中盤から。猟奇犯罪と少年法、実際に現実的な話。少年の更生材料が音楽・ピアノ曲、感性を揺さぶるツールとして、これも現実的なものなのでしょう。思考回路の似た弁護士と刑事の出会い、いろんな素材を組み合せて完成形へ。この展開に久しぶりに興奮を隠せず。殺人の埋め合せは、別の人間を苦しみから救い出すこと、それが一番真っ当な答え、こう言わしめる著者の思想が、全体を通して水面下で息づいてます。隠れたヒーローという描き方、面白いんじゃない。2015/11/21
nobby
359
さすがのどんでん返し。そのテンポのよさで心地よく読ませて、最後そうくるか!御子柴のキャラクターが回想と現在で違って感じるのはヒールに徹しているということか。途中ピアノ演奏が描かれるのは作者ならでは。その場面、ドビュッシーとのリンクかと思いきやカエル男だった(笑)障碍者についての描写といい、中山さんの引き出しの広さまだまだ体感していきたい。2014/01/05
れみ
352
続編読む前の復習で再読。主人公の弁護士・御子柴がやっぱり魅力的だし、事件の真相にたどり着くまでの流れにドキドキさせられる。だけど最後は刑事・渡瀬に持ってかれた感が…(^_^;)贖罪って難しいなあと考えさせられもするお話。2014/04/03