内容説明
その春、戦争は自分らを殺そうとした。イラク、アル‐タファル。21歳の三年兵バートルは、18歳の初年兵マーフィーを無事に故郷に連れ帰ると約束していた。しかし、凄惨を極める戦闘を次々と経験していくうちに、二人は予期せぬ運命をたどることになる。イラクで戦うとはどういうことだったのか。元兵士が戦争に直面した若者たちの感情を、痛切に、瑞々しく描いたデビュー作。 兵士の鮮烈な成長譚でもあり、イラクの戦場で生き残ろうとする二人の青年の友情の物語でもあり、無垢の喪失と記憶の意味を語る哲学的な寓話でもある。並外れた作品だ。――ミチコ・カクタニ(《ニューヨーク・タイムズ》紙) 必読の書だ。イラク戦争をリアルに描いているからというだけではない。その不名誉と理解しがたい暴力から、弱々しくはあるが確かに生きている人間性の証を紡ぎだしているからだ。――《ガーディアン》紙
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばなな
8
これも図書館の新刊コーナーで見つけて借りる。イラク戦争。戦争は、悲しみしか生出さない。世界人類は、幸せを平和を願う。その願いのために戦争へ走るのか。平和を祈るだけ。戦争での友人の死の悲しみはいらない。2014/05/20
oz
5
初読。イラク戦争を舞台にした戦争/青春小説である。イラクに動員された兵士達は、戦場ではゲリラに、帰国後は後遺症による現実社会への不適応に苦しんだ。作者はイラク戦争を描くにあたり、かつてのベトナム戦争文学を意識的に模している。作者の分身である主人公の青年バートルにとって「国家/家」とは「父」が不在の不安定な存在であり、それが彼個人の存在に不安定さの影を落としていた。彼は自ら戦争の大義を、ひたすらに初年兵のマーフを生きて祖国に戻すことに見出すが、マーフは過酷な戦場で次第に精神的に消耗してゆく。2016/06/26
茎わかめろん
5
読みながらどうしてと問いかけずにはいられない事が度々。各々の戦場での処し方の夫々。どこまで自分に感情を許すのかによるのかな。2013/12/10
hagen
4
今世紀において何度も繰り返される戦争。時代を経て兵器が近代化され軍事教練が進歩しようとも、戦場で反復される過酷な戦闘により引き起こされる狂気の沙汰に兵士が見舞われる事は変わりがない。かつて数限りなく戦争の悪夢、犠牲、悲劇について書かれたモノがそうであった様に物語は、帰還兵から故郷での平安を奪い、同僚兵士の死の情景が何処までも彼の心を捕らえて離さない。帰還兵のバートが文中で語る次の言葉かある。「自分はそのうち、戦争をとんでもないジョークとみるようになった。というのは、それがあまりにも残酷だったからだ」2018/10/03
信長書店
4
隣のやつが数秒後に吹き飛ばされる戦場で次第におかしくなる親友と、止めることが出来なかった主人公。少しの選択ミスで一生後悔しなければならない、戻ることが出来ないもどかしさを感じました。2014/02/06
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