文明と教養の〈政治〉 近代デモクラシー以前の政治思想

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文明と教養の〈政治〉 近代デモクラシー以前の政治思想

  • 著者名:木村俊道【著】
  • 価格 ¥1,595(本体¥1,450)
  • 講談社(2013/11発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062585644

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内容説明

宮廷社会や文明社会を舞台としたヨーロッパの初期近代では、19世紀以降とは異なる、人文主義的な政治が展開されていた。そこでは、マナーや教養、レトリック、シヴィリティが重要視された。しかしフランス革命と産業化の19世紀を迎えてのち、デモクラシーの浸透とともに、人文主義的な政治マナーは衰退してしまう。アダム・スミス、ベイコン、ヒューム、ハーバーマスなどの論考を参照し、実践知の政治学に光をあてる。(講談社選書メチエ)

目次

第1章 政治における教養と技術(デモクラシーの歴史? 可能性の技術 政治と教養)
第2章 実践知の政治学(人文主義の伝統 レトリック 思慮)
第3章 文明の作法(デモクラシー以前の教養と作法 宮廷という舞台 シヴィリティ 文明社会)
第4章 失われた政治学(チェスターフィールドという「型」 文明の転位 近代における政治と作法 政治における「型」)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

左手爆弾

3
これは重要な本だと思う。近代デモクラシーは自然法を規範とした法による均質的な統治を政治理論として立ち上げ、実践においても目指したが、一方ではかつての宮廷で行われていた「文明と教養の政治」があったのだ、という。政治の実践においては教養arsが必要であり、そうしたものを活用して、初めて政治が可能になる。法律上では悪いことしてないけど、教養をあまりに欠いている日本の政治家には、こうしたことを勉強してほしいと思う。一方で、具体的にどのようにして政治的な難問を解決していたのか、気になる限りである。2014/08/20

Moloko

2
政治科学に代表される理論的な政治学とは一線を引き、人文的な政治学にスポットを当てて、教養やレトリックや思慮や宮廷での作法などのシヴィリティ、文明性が他者との共存や説得による合意などの政治的に重要な役割を担っていたことを指摘した本。デモクラシーによる大衆の政治参加と平等性の普遍化で、喩え「マナー」を破っても討議して勝利すれば良い、礼儀作法や教養は外面的で浅薄なもの、ありのままの個人こそが尊重されるべきという意見に代替されて教養やシヴィリティが廃れたと論じ、古典的と思わせつつ、ある種で現代的だった。2017/01/20

さんとのれ

2
デモクラシーが席巻する以前のヨーロッパの政治においては、目的(理念)と手段(現実)をつなぐ技術としての教養が大きな意味を持っていた。限界を見極めながらバランス感覚をもって外交を行うという技芸は、やがてフランス革命を経て実利的、功利的になる世の中から消えていき、教養は政治から離れ個人化していく。シヴィリティをベースとする政治はヨーロッパという共同社会だったからこそ可能だったんだろうけど、現在の民主主義へと至る道筋の中にこういう社会が存在したという事は覚えておきたい。2015/07/23

フェイ

1
宮廷での教養というのはどういうものかを知るために確認 かつてのヨーロッパの上流階級では、教養(古典の知識はもちろん礼儀作法等も含む)が交流の中心をになっていた。これらは他者への配慮を基本としており、主に各国の宮廷を舞台として展開されたが、配慮するために本心を隠した結果、偽善や欺瞞が渦巻いているいるという批判もあった。これらはフランス革命以降衰退していった。という内容。そのまま取り入れるわけにはいかないにしても、現代でも見習うところは多いと思う。2015/11/23

うえ

0
「政治思想史という学問分野は…デモクラシーをはじめとする近代的な価値や理念を歴史的に正当化することを目的とした、まさしく同時代における「政治思想」の産物であったのである」「クリックもまた、『デモクラシー』の冒頭において、「いついかなる場合でも最善なのはデモクラシー概念のはずだという主張に対しては、私たちは眉に唾してかからなければならない」と注意を促す」2014/04/15

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