内容説明
扇子に手ぬぐいというわずかな小道具のほかは、ただ演者の「一枚の舌」によって、庶民はもちろん将軍や大名を高座に呼び出すこともできれば、遊郭や冥界に遊ぶこともできる不思議な話芸、落語。この落語の面白さを支えているものは何か、少年時代からの落語ファンでもある言語学者が、「ことば」の面から分析した、異色の落語論。志ん生や文楽、円生、小さん、談志などの実例を引用しながら、特異な芸能の特徴・構造・魅力を解読。(講談社学術文庫)
目次
第1章 落語の言語空間(話芸としての落語 落語のことば・落語家のことば ほか)
第2章 マエオキはなぜあるのか(マエオキについてのまえおき 桂文楽のマエオキ ほか)
第3章 オチの構造(オチとはなにか オチの成立 ほか)
第4章 演題の成立(落語の演題の特徴 東京落語の演題 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
30
”あばらかべっそん”やら”ちりとてちん”的なオノマトペも含んだ内容を求めたが、言語学という表題には拍子抜けの、それに言及した部分は数ページ程度だった、落語の構造解析本。 挨拶を含めた「マエオキ」、時々や本題の前振りの事象を絡めた「マクラ」、落語のネタたる「本題」、 本題を〆る「オチ」、退場前の「ムスビ」。その類型と分類は、先人の引用が多く目新しさはない。独自の視点は「マエオキ」の演者ごとの特徴と頻度の統計。終章の、現在敷衍している演目の確定前の、仮題やシナリオまんまの題名は、ヤボっぽさ満載で面白かった。2019/09/28
ROY
7
むずかしい。落ちを分析すると次の笑いに繋がるのであろうか?2013/11/26
Mits
2
思ったよりも、それほど面白い本ではなかったかも。 落語の「前置き」「オチ」「演題」についての考察を1章ずつしているわけだけど、「落語」という言語空間を俯瞰する第1章のようなお話がもっとあるとよかった。 「オチ」の話は別として、「前置き」や「演題」の細かい話にはあんまり興味わかなかったです。2013/12/05
じめる
2
言語学といっているが、そこまで本格的に学問の深淵に入っているわけではなくて、落語の諸要素を言語的な側面から分類したライトな類のもの。内容としては落語分析の嚆矢に見えるが、やはりこれだけだとまだ考察しきれていないところがある。オチの分類に関しては慎重だったのが好印象。2013/11/04
その他
1
言語学という言葉から構えるほどややこしいものではなく、枕から落ちまでの落語の構造を分析している内容で面白かった。 オチの構造についての掘り下げが大部分を占めるが、こういった図解などを差し込みながら笑いを解いていく話はやっぱりワクワクするので好きだ。2023/04/21
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