岩波科学ライブラリー<br> 原発事故と科学的方法

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岩波科学ライブラリー
原発事故と科学的方法

  • 著者名:牧野淳一郎
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 岩波書店(2014/10発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000296168

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内容説明

原発事故の巨大さは事態の正視を妨げ,事故前にも事故後にも,嘘がまかりとおった.放射性物質や原発事故のリスクが一人一人の生活に上乗せされる時代に,信じるのではなく,嘘を見抜いて自ら考えていくための方法とは.事故後にほぼ正確に事態を捉えていた著者が語る,原発再稼働と健康被害推定をめぐる実践的な思考の書.

目次

目  次
   まえがき

 序章 3.11から最初の一週間──三重の悪夢のなかで
   3月13日/3月14日/3月15日/3月16日/3月17~18日
 第1章 原発事故の規模──自分で考えるための科学的方法
   JCOの事故/福島原発の事故の規模を推定する/空間線量と放射性物質の量/3月14日の原発付近/3月15~16日の大放出/まとめ
 第2章 事故のシミュレーションはなされていた──まかり通った大嘘
   2006年の国会質疑/検討されていた事故シミュレーション/シミュレーションの効用と限界/事故シナリオと放出量/まとめ
 第3章 専門家も政府も,みんな間違えた?──あるいは知っていて黙っていた?
   なぜ「レベル7」といわなかったのか/研究者の行動(私を含めて)/原発に反対してきた人たち/まとめ
 第4章 原子力発電という巨大リスク
   原子力発電導入初期の検討/事故の巨大さ/損害試算/ 「原子力損害の賠償に関する法律」とその帰結/損害試算が見落としていたもの/そんなこと,わかりきっていたんじゃないの?/ 「我が国において,非常用ディーゼル発電機のトラブルにより原子炉が停止した事例はなく」の意味すること/受動安全性/既存の原発の再稼働/放射性廃棄物の問題/ 「増殖炉」と「再処理」の破綻/政府の政策の硬直性
 第5章 福島原発事故の健康影響をどう考え,それにどう対応するか
   放出量の過小評価と,その他の問題/被曝の健康影響/チェルノブイリの小児甲状腺がん/福島の小児甲状腺がん/専門家の予測は信頼できるか?/信頼できないかもしれない予測しかない現状にどう対応するべきか
 結 び に
   付録 2011年3月19~21日に私が考えていたこと──ウェブ日誌より「福島原発の事故(2011/3/19-21)」
   補論 ホットスポットと食品汚染

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Koning

16
手法としては間違っちゃいないんだけど、やっぱり危険バイアスはみっちりというか。広瀬隆が出て来たとこでがっかりしちゃったんだけど、それでも有用な一冊ではあると思う。健康被害に関する部分はえ〜?って思っちゃう所もあったり、最終章のQ&A風ご意見表明はちょっと価値を下げちゃってて残念 。ということでなんとも微妙な感想にしかならないというかなんというか(汗。2013/11/25

calaf

15
スリーマイルの事故の事は少なくとも名前は知っていたものの、ウィンズケールの事故の事は、名前さえも知りませんでした...この本を読むまで (大汗) それにしても、この本の考え方はいろいろな示唆を含んでいるなぁ...とにかく得られる客観的なデータのみを用い、そこから何が起こっているかを科学的に考えるという事が重要。科学者としては当然と言われれば当然なのですが、専門外の事になると... (^_^;;;2013/12/26

coolflat

7
高校程度の物理・数学の知識があれば、専門家の嘘を見抜けると著者は言う。確かにそうだ。だが多くの人は見抜こうとしなかった。見抜こうとしなかった人の少なからずは、その知識があったにもかかわらずだ。要は、普段から考え抜こうとする癖がない限り、出されたデータに対して、疑問は持たないのだ。面倒なことは考えたくないというのがあるのだろう。過小評価されたデータについて、そうあって欲しいという願望もあるかもしれない。専門家の意見を鵜呑みにした方が楽なのだ。しかしそれではいけない。だからこの本を読め。考え抜くヒントがある。2013/12/22

ちゅーとろ

6
2013年に出版された福島原発事故に関する話。公表されたことだけでも事実または事実に近い事が科学的方法でわかる。政府・東電・東大までもが事故状況を著しく過少評価発表をしていた。確かに専門家のほとんどが大した事はない格納容器は絶対壊れる事はないなど言っていたことを思い出した。また、自分も疑いつつもそれに流されていた。いまや、レベル7の原発事故はさらに風化しつつあるが、将来のために考え直さなければならないのだが。牧野氏の科学者としてのプロ根性・科学者魂が感じられる本だ。2016/05/14

Yukiko

4
あの頃、原発事故で何が起きているのか、政府や権威のある専門家の言っていることが、まったく腑に落ちなかった。2011年3月12日からネットに貼り付いて情報を集めていたのを思い出した。 今は、食品も汚染が心配だ。 この本を読んで、私の不信、不安が根拠あるのだなと、改めて思った。 一般で手に入る情報を元に高校程度の知識でそれなりの結論に至ることが、科学って平等だと思う2014/06/13

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