内容説明
霧ケ峰涼はエアコンみたいな名前だが、カープファンにして鯉ケ窪学園高校探偵部の立派な副部長である。探偵部とはもちろん、探偵小説愛好のみならず、実地に探偵活動を行うのを旨としているのは言うまでもない。鯉ケ窪学園とその周辺にはなぜか事件が多い。校舎から消えた泥棒、クラスメイトと毒入り珈琲一族との関わり、校外学習のUFO騒動、密室状態の屋上から転落した女子……など。 それらの愉快で不可解な事件の謎を解くはずの涼だが、ギャグが冴えるものの、推理は発展途上で五里霧中。顧問教師・石崎浩見や同級生の高林奈緒子の力を借りて推理を開始する。果たして、あざやかに解決へと導くのは探偵部副部長なのか、それとも意外なあの人か? ユーモア学園推理の結末は?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
81
【鯉ヶ窪高校探偵部シリーズ】番外編第1弾。東川氏らしい軽妙な語りと独特のユーモアの中に、巧妙に練られた謎を推理する連作短編。探偵部副部長の霧ヶ峰涼は、名探偵に成るべく学園に起こるライトな事件に奮闘中。しかしその実態はワトソン役で、最初の「霧ヶ峰涼の屈辱」の先制パンチは小気味良い。部長は登場せず霧ヶ峰の推理を、顧問の石崎先生に指導される日々である。「霧ヶ峰涼の逆襲」は推理が正しいと思わせ、二転三転していく鮮やかさに目を見張る。読み終えて、緻密な計算の上にぐだぐだな笑いが在ると思うと、改めて凄いなぁと感じる。2021/10/21
さっとん
73
鯉ヶ窪学園シリーズ3作目、8編からなる連作短編集。 3作目とは言うものの番外編的扱いで1・2作目とは主人公が異なるので、2作目を飛ばして読んでしまいましたが全く問題なく楽しめました。 東川さんらしいコミカルで軽いタッチとしっかりとしたトリックで気楽に本格ミステリが楽しめる優れモノ。 特にカープネタ満載なのでカープファンの自分にとっては楽しさ倍増でした。 1・2作目に登場する3バカトリオとの絡みを今後期待したいところですね。2021/05/30
ニカ
55
1話目から騙された。少々卑怯な手だとは思うが、その設定が後の話しにも活かされていて良かった。2022/01/10
るーしあ
43
今回は3バカトリオの登場はなく、探偵部員は霧ヶ峰涼が登場するのみ。だから女の子に「僕」と言わせるなと何度も何度も・・・ まあそれはおいといて、この作品はドラマ化されたはず。ということはテレビでは霧ヶ峰涼の正体の大仕掛けを無駄にしたということ。なんともったいない。ドラマを見た後にこの本を手にした人には残念な結果になったのかもしれない。幸い私は楽しめた。鯉ヶ窪学園探偵部シリーズの中では一番のお気に入り。霧ヶ峰涼、面白いキャラだなぁ。笑った笑った。お気に入りは「霧ヶ峰涼とエックスの悲劇」。次シリーズが楽しみだ。2013/10/08
Walhalla
42
鯉ケ窪学園シリーズの3作目です。探偵部には、三馬鹿トリオに勝るとも劣らない凄い名前の副部長がいたのですね。 肝心のミステリーの部分も、解決したと思ってもさらにその上が用意されていて驚きです。そして、今回はいつも以上に野球ネタが多かったですね。広島カープのファンでなくても、野球好きにはたまりません。これだけで面白さが×10倍アップしますね。この副部長と、部長以下の三馬鹿トリオが勢揃いすれば、かなり面白そうですね。次作も楽しみです。2020/07/06