内容説明
今度は病院経営を任される!? 日村誠司が代貸を務める阿岐本組は、東京下町で長年ちっぽけな所帯を持っている。堅気に迷惑をかけない正統派ヤクザであったが、地元新住民の間から暴力団追放運動が起こってきた。そんなおり、組長の阿岐本雄蔵が、潰れかけた病院の監事となって再建を引き受けることになった。院内は妙に暗く、掃除も行き届いていない。さらに出入り業者のバックには関西大物組織の影もちらつく。再建先と地元、難題を二つ抱え込んだ阿岐本組。病院の理事にもさせられた日村は、組の最大の危機を乗り切れるのか。ヤクザ界の悩める中間管理職・日村誠司の奮闘を描く、痛快任侠エンターテインメント。倒産寸前の出版社を救った『とせい』、荒廃した私立高校の経営に携わった『任侠学園』につづく、大好評「阿岐本組任侠シリーズ」第3弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BlueBerry
72
シリーズ3作目で乗り込む業種が違うだけで大体似たような筋書きなんだけど、やはり楽しませてくれますね♪このシリーズを更に続けて欲しいくらいです。読みやすくて楽しくて読後感もスッキリの娯楽小説!序盤○中盤○ラスト◎総合○2014/10/06
再び読書
56
シリーズ3冊目、今度は病院の意識改革に臨む。このシリーズに流れている大きな流れは、職場を働いている人が気持ちの良い状態にする事が第一、そこから色々な事が良い方向に動いていくという事でしょうか?まさに5Sとも言えるが本質的な5Sであるべきと釘も刺しておきたい。最終的には阿岐本の貫目が勝り、またもや改革の入口で彼らは去っていく。ここが、潔さと感じるか物足りなさに感じるかも評価の分かれ目かも知れない。ただ、「隠蔽捜査」シリーズに流れる原理原則に則るという姿勢はやはり気持ち良い。少し空いているので続きが出るか不安2016/08/06
空猫
29
図書館。「なんでヤクザが病院経営なんてやらなきゃならないんだ」という代貸(ナンバー2)のボヤキがすべての人情コメディ。出版社,学校を一銭の儲け(シノギ)にもならないのに立て直してきた阿岐本組が今度は病院の経営改善に奮闘する。組長の考えでは世の中のためになる組織は潰してはいけない。地域に密着した病院を助けることは世直しで善なのだそうである。ところで,そろそろ阿岐本組という不良・愚連隊の駆け込み寺,地域の揉め事相談所,町内会自警団という組織の経営状態がかなり危うそうなので何とかする必要がありそうなんだけどな。2016/09/04
まめ
29
前半部分、ページをめくってもめくっても日村のとほほな心のつぶやきがあり、それが楽しくて可笑しくて。相変わらずサクサク読め、読了後は爽やか。真吉の万年筆にはニヤリ。この任侠シリーズがもっと人気が出て第4作、第5作と出て欲しい。次回はデパート?遊園地?などと考えるのも楽しい。2014/11/17
えみ
18
真面目なヤクザにほっこり。暴力沙汰が一切ないヤクザの喧嘩が描かれていて、一味も二味も違う任侠小説。ヤクザは迷惑な存在と自覚し、堅気に迷惑をかけない事をモットーに真面目にヤクザ業(?)を行っている阿岐本組。阿岐本組長の一言で潰れそうな病院の立て直しに取り組む事になった組員達は本気で真面目に病院再建を行う。ところがそこで大問題が浮上する。心配性な代貸の日村があちこちの方面で心配しながら組を支える姿にエールをおくりたくなる。それでも危機を乗り越える為に腹をくくり覚悟する…何だかんだ言ってもヤクザなんだと思った。2019/02/02