内容説明
副作用の危険が隠された薬によって「うつ病」患者が作られている。安易に向精神薬を投与する医師たち。彼らを陰で操り、巨額の利益をあげる製薬会社。「戦後最大の薬害」は、今、まさに我々が暮らすこの場で進行中なのだ。精神科医でノンフィクション作家の著者が、精神医療の闇を解き明かし、苦しみ、悩み、不安とどう向き合うか、あるべき姿を訴える。
目次
第1章 実態―うつ病患者は本当に増えているのか
第2章 診断―「うつ病」とは何か
第3章 薬―新型抗うつ剤の実像
第4章 疾病化―社会問題を個人の病気にすり替える
第5章 自殺―「自殺はうつ病」という誤解
第6章 背景―患者作りと投薬を進める構造
第7章 提言―精神科医療を変えてゆくために
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
プラゴミの精
7
自殺対策が自殺を増やしているという衝撃。うつかもしれないと思ったら早めに受診で精神薬中毒にされる。発達障害も早めに受診で薬を処方される。精神科不信になる。2021/10/05
yamaneko*
7
うつと診断されるやいなや、大半がすぐに投薬されてしまう現状は、とてもこわいですね。2013/11/21
030314
5
「自殺した人の約7割が精神科を受診していた」これに対し医学界の反撃は「がんで亡くなった人も約7割はがん専門医を受診していた」思わず、笑ってしまった。「絶句するしかない」と著者は言っている。本の中に紹介される医療機関の患者への仕打ちはちょっと信じがたい。つくづく、自分は精神科を受診しなくて良かった、と思う。「うつ状態は自然に治ります。」に賛成。2017/08/09
Uzundk
5
うつ病というラベリングによって、様々な問題が個人へと押しつけられたという話。誰にだって不調なときはある、それを自殺やうつ病の恐怖感を煽ることで精神科へ送り、正しい診療も診察もないまま薬を飲み、その副作用で更に体調を崩していく...。ポップ心理学と同じく、問題を個人に押しつけることで、問題をなかったことにしてしまう。その便利なラベルのひとつとしての"うつ"の実態。陰謀云々のようなものはさておき、自分をコントロールすることを手放すとそうなってしまうという事だと理解した。2014/10/23
俊
5
今まで何となくうつは早期治療がいいんだろうなぁと考えていたが、それを根底から覆すかなり衝撃的な内容が書かれている。読後は精神医療や製薬業界を見る目が変わってしまう可能性が高い。しかし何事も一方的な意見を鵜呑みにするのは危険なことなので、次は著者の説に真っ向から反論しているような本を是非読んでみたい。うつ病を特定の個人だけの問題にするのではなく、その人をうつ病にしてしまった社会にこそ原因があるという考えには賛成。2013/12/28